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間近で見るおもしろさ

寒風吹き荒れるなかアドベンチャーワールドに行ってきました。
大人1名4800円。なかなかの料金を取るなー、と下調べもせずに向かったので、正直やや引きました。
料金に見合うくらい楽しめるかな、と半信半疑でチケットを購入して入園しましたが、気がつけば寒さも気にならないくらい動物たちを見入ってしまいました。

園内1番の人気者

アドベンチャーワールドといえば、パンダ。

頭のとんがりが特徴の結浜
未熟児で生まれたが、すくすく育つ彩浜

白黒のシルエットと相まって、しぐさがとてもチャーミング。
人のように腰かけてお行儀よさそうに笹を食べたり、ジャングルジムの横の伸びる木に手を引っかけて全身を脱力して寝ていたり。
人を惹きつける”かわいい”を全身で体現しているパンダはやはり園内一番の人気者でした。

ちなみに、雄の永明と、双子姉妹の桜浜、桃浜は来年の2月に中国へ帰国するそうです。
アドベンチャーワールドで暮らす雄のジャイアントパンダは永明だけなので、新たに中国から渡ってくるのでしょうか?

質の良い絨毯のよう

毛並みの質感で驚いたのがキリン。
まだら模様が描かれているキリンの毛並みはきれいに短く整っていて、まるで数日前に床屋で刈り上げてきたようです。
少し離れてみれば、そこらには売ってなさそうな良質な絨毯のよう。
首に伸びるたてがみも、人が植えこんだブラシのように長さと幅が整えられていました。
手の届くところで見れたので、手触りがとても気になりましたが、触れたい気持ちはぐっと抑えて、視覚から毛並みの質感を想像する楽しみ方で留めました。
僕が想像するに、ジョリゾョリまではいかないにしても硬毛で過密に生えているように見えるので、毛の強さを感じる手触りではないかと思います。

首を垂れるキリンを上から覗くと

あと、走っている姿も見ましたが、長い足を突っ張るような走り方で、足の踏み出し方を試行錯誤しているようでした。
キリンからすれば颯爽と駆けているのかもしれませんが……。

サイの体躯

ずっと眺めているとゲシュタルト崩壊を起こしたかのように、サイの体躯がアンバランスに見えてきました。
というのも、何かを食べているのか、口を地面に触れるようにして歩いていている姿勢が、首が前方に伸びて、人間でいうストレートネックのようでした。

イメージとして抱いていたサイは、トリケラトプスに近いもの想像していましたが、どちらかといえばカバ的要素が強いような気がします。
でも、カバにも勝手に持っているイメージがあるので、カバをみたら全然違うな、って思いなおすかもしれません。

サイの足も面白いです。足裏付近は硬化してそうに見えます。しかし、足が着地する瞬間を見ていると、足裏がクッションのように体重がかかるとつぶれて、体重を分散させているようでした。

想像以上に大きかった

と感じたのはラクダ。最後に見たのは小学校低学年のとき。名古屋の東山動物園にいたことしか覚えておらず、大きさはダチョウ程度だと何となく思い抱いていました。
が、とても大きい。そしてかわいい。
よくよく考えてみれば、駄獣として人や荷物を運んだりもしますが、それはかなり大柄でないとできないことですよね。

アドベンチャーワールドのエントランスドームをくぐって、ファミリー広場へと続く坂道を降りていくと左手にフタコブラクダがいました。
さらに、サファリワールドにもヒトコブラクダが暮らしています。

フタコブラクダ
ヒトコブラクダ

両者はコブの数だけでなくて、毛量や足の骨格等いくつかの点で違いが見受けられました。もしかしたら両者にもさらに様々な種類がいて、たまたま相違が顕著な2種だったのか、性別や生育年齢によるのか、あるいは動物園という暮らす環境によって特徴が顕在化したのかは分かりません。
ただ、両者にこうして同日(鮮明に記憶に残っているうち)に会わなければ、コブの数が異なるだけで、あとの身体的特徴はほぼ同じようなものだとずっと勘違いをしていたかも。

両者に共通するのは、食べ方。
草食動物の多くに言えることだと思いますが、上あごと下あごを左右にずらしてすり潰すように口を動かしていました。
その食べている表情が面白くて、何枚も写真を撮ってしまいました。なかには涎が口の中で粘っているのもあって、汚いなーって思いつつも楽しませてくれました(ラクダにしてみれば楽しませる意図は全くなかったと思いますが)。

フタコブラクダ お食事中
ヒトコブラクダ お食事中

直に会わなければ気づけないこと

他にも、ペンギンやホッキョクグマなど海に生息する生き物や、チーターやライオンなどの肉食動物もアドベンチャーワールドで暮らしてます。

話が逸れますが、最後に園内を回りながら感じてたことを言葉にしてみます。
「アニマルウェルフェア」という考え方があります。
農林水産省のHPにアニマルウェルフェアについて書かれた箇所があったので引用します。

我が国も加盟しており、世界の動物衛生の向上を目的とする政府間機関である国際獣疫事務局(OIE)の勧告において、「アニマルウェルフェアとは、動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義されています。
アニマルウェルフェアについては、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であり、結果として、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながることから、農林水産省としては、アニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めています。

https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html

よくアニマルウェルフェアの対象になるのは畜産動物ですが、倫理的側面から、動物園という施設そのものを反対する意見や、飼育するにしても、野生環境に近い飼育方法をとるべきだと言う考えがあります。

僕も動物を含め生きもの全般が好きなので、好きな生きものが例えば窮屈で陽のあたらない室内に閉じ込められていれば、それは残念で気持ちです。
アドベンチャーワールドはパークポリシーとして、「動物のしあわせを追求するパーク」という理念を立てています。この理念がきちんと体現できているのかどうかは僕には判断できませんが、動物の福祉を考えていることは確かだと思います。

僕が思うに、アニマルウェルフェアの考えは理解できますが、だからこそ動物の飼育や動物園という施設そのものまでも反対する意見は、むしろ動物愛護の遠ざけてしまうのではないでしょうか。
人と動物の暮らす環境は確かに異なりますが、両者がきちっと線引きされた範囲内で生きてきたのではなく、行ったり来たり、生活の場が交錯しながら、ときには協力し合いながら生きてきたように思います。
動物たちが人間のことをどう思うのかは分かりませんが、少なくとも人は同じ場に暮らす動物たちのことをもっと知っていたのではないか。
僕がヒトコブラクダとフタコブラクダの違いが、コブの違いだけと勘違いしたり、キリンの毛並みに驚いたり、サイの体躯を不思議に思ったのは、普段の生活から動物たちが切り離されており、なおかつテレビや絵図で知ったつもりになっているのが原因の1つではないかと推測しました。

動物園で生き物を直に見て、観察して、触れることで動物たちとの距離が縮まるように思います。飼育するわけではないので、表面的な理解に留まるとおもいますが、それでも動物たちへの想像力を働かせるきっかけになるのではないか。
そして、結果的にアニマルウェルフェアの意識が高まるのではないかと考えました。

なんか真面目な話になってしまいましたが、アドベンチャーワールドは大人でも十分に楽しめます。
別に動物のことを学ぶために来場しよう!なんていう思いは全くありません。むしろそんな来園の仕方はナンセンスに思います。
が、楽しむことにプラスして身近にはいない生き物の姿を知ることができる面白さがありました。
お金に換算するのは適切ではないように思われますが、入園料4800円は決して高くはないと僕は感じます。

撮った写真をまとめた記事を載せて終わりにします。


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