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『洋服と記憶』

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展で、
一番印象にのこった場所がここ。

洋服と記憶

このテーマの説明にこう書いてありました。

ここにあるのは長い時間を経て服がその人の身体に馴染み、着る人の痕跡を残している品々です。
そこに添えられた言葉から、それぞれの人生の大切な出来事や感情が、ミナの服の色や模様と同期し、物語を紡ぎだす様を知ることができます。
服はその時、その人だけのプライベートな記憶の貯蔵庫になるのです。

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展より一部引用


ここに展示されている1着1着に、
持ち主の想い出がぎゅっとつまっています。

長い時間をかけて、繕いながらお気に入りの服を思い出と共に着る。

そんな贅沢な時間を
この空間で共有できることは貴重な体験でした。


その中で、私のこころが一番動いたエピソードはこの洋服でした。

この服を着て入院中の病院を訪ねた時、頑固で誉め言葉など素直に口にすることのなかった父が、素敵な服だなとつぶやいた。
そして、着るにふさわしく常に自分自身を磨きなさい・・・と。
おしゃれへの興味高まる10代の頃、内面こそを磨きなさいと言われ反発心を抱いた記憶がふと蘇り、月日が流れ同じ意味の言葉が深く心に染みるものへと変化していることを感じた。
ほどなくして父は他界した。この服を着ると、思いや記憶のひとつずつがパズルのように大切に紡がれていくよう感じる。

「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」展より一部引用


父と娘のストーリーは、自分自身に重ねてしまうせいか、心が動きます。

この場所に来たそれぞれの人が、自分の記憶と重なる部分を見つけ
その服の前で長い時間をすごすのだろうな、と想像しました。

モノと記憶のストーリー。

わたしにもあるかもしれないと探しながら
過去から記憶をさかのぼる、今日この頃です。


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