新・水(日記12/11)

ニューだのポストだの、水をどうにか新しくしようとする試みがこの世の中には時折提示される。コンセプトは「水より良く、スポドリよりやりすぎない」だと思う。最高だ。俺は効率的な水分補給がしたい。適切なミネラルやなんやかんやが欲しい。糖分はそんな要らない。カフェインはもっと要らない。しかし麦茶やルイボスティーにはもうほんんんんんんんんんんんんんんんんんんんっっつつつつっっっxtぅtぅっっっxtぅtぉうごへかskdfjぁsdhfに飽きたってワケ。変なスーパーや百均を巡りごぼう茶だのなんだの不思議なノンカフェインの茶を探す時間はもううんざりだし、疲れた。助けて飲料メーカーさん。ある日岩本町駅A3出口の階段をヒイヒイ上りながら叫びあえいでいた俺に直近のマツキヨは答えてくれていた。もう俺がかれこれ1万円以上稼がせてやっているそのマツキヨがだ。悠然と棚に並ぶそのボトルにはこう書いてあった。

アクエリアスニューウォーター

すぐにコレは売れないなと悟った。同時に長年俺が追い求めていたものが完璧な形で供給されたと感じた。きわめてジェントルな甘み、爽やかなのど越し、少しのレモン風味、カロリーゼロ。水より味があり、しかも味のベクトルがお茶の類ではない。砂糖が弱くてノンカフェの液体ってもう本当に何かの茶しかない。そんな中彗星の如く現れた刺客。素晴らしい。この上ない。売れない。明らかに売れない。あのポカリスエットからほんの少しだけ糖分を抜いたポカリスエットイオンウォーター(俺はうすポカリと呼んでいる)ですら特段上手く行ってるとは感じられないこの日本でだ。全然甘くもないわりに水の代替としてはキャラが付き過ぎている液体がだ。売れねーだろこれは。負け試合だよこんなん。でも最高である。きわめてジェントルな甘み、爽やかなのど越し、少しのレモン風味、カロリーゼロ。ワオ。とてもクールだねジェニファー。ええホントねボブ。出た当初は販売に元気があってその辺のコンビニにもあったんだぜ。あーあ、こんな売れない商品入荷しやがって(笑)と思いながらいそいそとレジに持って行ったあの日々…全ては過去となり、記憶か、いずれ消える記録の彼方か…誰もが予測できた通り一切流行らず、俺の周りで他に飲んでいた人は一度も観測できず(定期的に摂取しているという人は連絡ください)、今日では岩本町A3出口から一番近いマツキヨの万引き防止ゲートの外に78円くらいで並んでいる。万引き防止ゲートの外、つまりこの店で最も言っていい程に重要視されていない位置だ。俺は悲しい。予測した通り物事が運ぶのが悲しい。コイツは売れはしないものの、コンセプトが明確で、ハマるべき所があるプロダクトだ。アマゾンの評価を見よ。4を超えているではないか。皆分かっているのだ。俺もわかっている。こいつは結局どっちつかずで終わってしまった悲しき飲み物、の類ではない。最初から負け試合なニッチに殴りこんで行った勇敢なる戦士だ。ついぞ誰も成し遂げる事が出来なかった「進化した水」を追求した挑戦家だ。誇り高く、理想の為に生み出され、今日では岩本町A3出口から一番近いマツキヨの万引き防止ゲートの外に78円くらいで並んでいる…悲しい敗残兵だ。

今日も敗残兵を手に取り大学へ向かった。いずれ全てから消えゆくだろう敗残兵を。しくしく。


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