月のウィータ(2016-2018)
ああ友よ星とスミレを匙に溜め夜によりよく我をしとねよ
ふるさとは要らない黒の背広着て高きヒールで時空を翔べば
黄金に冴えたる月のウィータからいざ分岐せし時を走破す
目を閉じて夜は瞼の紫に虫の卵を産むのだからね
身体を投げ記憶消せど涙さえ有れば重たく沈む魂
にんげんが機械化するのは細部から爪に歯・体毛・それに眼球
悪い宿命などない命は尽きるから真綿の星に旗は立たずに
浴用の白衣に宿る音信(おとずれ)をこの世のものと思えずに聴く
我が身体 物体故にかろがろと明滅を踏みたゆまぬ歩行
ぼくは蔦・兄はあさがお・死は遠きゆめ眠る種に亀裂が入る
かれの目をいつか刳り貫く神の手はほそき線もてピアノに降れる
夜はいつ明けるか知れずおはなしは眠らぬものと妹(いも)は囁く
人ひとり生きし孤島に夜は常 精一杯に月光(ひかり)に耐えて
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“Imaginary Brother & Man Machine”
original by Lab
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