亡びぬ光〈Ⅰ〉 (2015*2021reboot)
路上にはキミと美貌の月があり 廃車の顔は暗く潰れて
師は病みて馬の下にて笑う夜 桃の旬は過ぎたと報せ
聖堂を幼きわれが駆け抜ける音が瞼にぶつかるようだ
円盤と祖国の遺構 閃光が時を経たものすべてを舐める
わが胸に天涯孤独の友を泊め いつ帰るのか尋ねないまま
ブライダル・フェアに死の憑く雨が降る 鎌持つ影がふとキミを見て
夕暮れやキミの墓前のりんどうとわが電脳の色がかさなる
頬骨の位置で涙の流れ落つ地理が分かれば横目に朝陽
チケットを思わず裂いて父の声 折しも庭に落葉の時季
わが友は亡びぬ光 漆黒の背広を纏う夜のやすらぎ
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