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Photo by
nishia2222
有翅・劣化・代償(2019)
「偽果熟れり」 販売機の罅割れし声 鉄の踵で花を辿れば
みな夏の殉ずるときを待っているひかりのせかい・罪なき地上
いまはまだ二万字という裸体だがあなたにはおしむらくも名がある
敵機なし 楽園跡地の海辺では姿を捨てた兵たちの唄
澄んだ青は記憶にしか定着しない 野原の青き草の臆見
生命の正体は湿り気どうぶつがなにかの体液てからせている
閃光が星座を絶ちて沈黙の闇に臆せず雨を歌えば
犬の目のようなかなしみに目を伏せる我が影の名は所在無きもの
路地に花撒き散らす日には御覧なさいこんなふうに歌いますもの
破裂した硝子玉より美しい詩篇かかとで割っては食べる
蒼白いカーディガン肩をずり落ちる偽の氷の病とともに
弧を結ぶ二点が真夜中突き刺して月の桎梏だれも免れぬ
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