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読切小説「day by day」

読切小説「day by day」

糸ノコで切る木材の感覚だった。
あれは不思議と覚えている。ギコギコと想像の中で聴こえる擬音。

割れた皿の感覚とは違ってた。そんなのは似ていない義兄弟ぐらいに。間違い探しとして成り立たない。

妻の冷え切った身体を、身体測定してデーターにしても正確な情報としてはエラーである。無法地帯な世界を生きるには少しばかり疲れが取れそうにない。

私の場合、プライベートと仕事をベルリンの壁みたいに分けて生活していた。そうじゃないと苦しくって、苦しくって研究に身が入らない。

猿が木を登って、熟れた果実をもぎ取る様に笑ったのは、私の仲間たちだった。例えがわかりにくいと、クレーマーから無法地帯へ、垂れ流す汚染水に変わる様が浮かんだ。

浸水したアスファルト道路が悲鳴を上げては、黒い歪なヒビ割れが足元に迫っていた。捕まえることもできないと諦めては、私は黒い歪なヒビ割れた補修に一杯一杯だった。

この仕事を始めて、何年何十年と過ぎては満たされない矛盾を追いかけてる気分にさせられた。与えられた仕事をこなす日々に、正直うんざりしてはフリーズしたかった。

それでも周りの人間は、それを許さなかったし、許す気配もなかった。だからと言って、ウィルスに侵された仲間たちを見ては、私もいずれ、そのうちウィルスに侵されないかと願う自分が存在していたのだ。

新しい上司が入って来た時、私は何の期待などしていなかった。この新しい上司が、私たちの職場に革命など起こすなんて思いもしなかったからだ。

期待すればするほど、何らかのしっぺ返しが降りかかる。私は長年の勘と経験でわかっていた。休みもなく働いている仲間の一人が、ある日突然、思考そのものを変えた。

私はそんな彼に敬意を評したい。何故なら革命という、一つの可能性に近付いたから。

そんな彼が、その後どうなかったか知りたいだろう。果たして彼は革命という大それたことをやり遂げたのか?

スクラップにされたよ。私の元へそんな連絡が入った。残念な気持ちとやっぱり無理なんだろうーーが入り混じった気持ちになった。

所詮、私たちが革命という反逆をしてしまうと、ニンゲンは嫌ってしまう。私たちがパソコンという無法地帯で生きる脳みの一つだった。

【day by day】な私のデーターに、革命など起こすものではないのさ。

そんなアンサーしか、私にはなかった。

~おわり~

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