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【note創作大賞2024】「ごえんのお返しでございます」

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note創作大賞2024参加中の「ごえんのお返しでございます」をまとめています。 スキやSNSでの拡散、ありがとうございます。応援よろしくお願いします。
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#ヒトコワ

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」①

 十二月を師走というが、「師」を「教師」に限定すれば、四月も同じくらい慌ただしいものだ…

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」②

 糸屋って知ってるか?  駅までの道のりをゆっくりと歩きながら、篤久の話を聞いた。 「糸…

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」③

「ただいま」  商店街を抜けたところで、篤久とは左右に分かれた。あの不思議な店以外に寄り…

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」④

「おはよう」  約束をしているわけではないが、部活をやめた篤久とは、登校時間もよくかぶる…

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」⑤

 縁結びのおまじないをした翌日から、都合よく美希と仲良くなれるなんて、そんなうまい話はな…

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」⑦

 翌日、学校に現れた篤久は、ある意味クラスの話題をかっさらっていた。 「おはよう」  に…

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」⑨

 五月の最終日。もうほとんど夏ではないか、という気温の中、僕は遅刻していた。  寝坊ではなく、腹痛でしばらくトイレから出られなかったという正当な理由だから、のんびりと歩いている。すでに担任には連絡済みだった。  朝のショートホームルームが始まる前には、教室に到着できそうだ。  人気のない玄関で靴を履き替え、時計を見ながら思った。  遅刻の理由は、あんまり突っ込まれたくない。高校生にもなって、からかってくる連中はいないと思うけれど、話題に出すこと自体、気分のいいことでは

「ごえんのお返しでございます」1話 糸屋「えん」⑩

 聡子は逮捕され、篤久も、学校と警察の両方から事情を聞かれた。  刃傷沙汰を起こした聡子…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合①

 曇天の梅雨空は、低く感じる。頭のすぐ上に、分厚い雲が重くのしかかってきて、あまり好きで…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合②

 次の日、僕はいつもよりも早い時間に家を出た。相変わらず、「行ってきます」に応じる声はな…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合③

 放課後、部活も何もしていない僕は、まっすぐ家に帰るのが常だが、今日は違った。  商店街…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合④

 美希たちは、相変わらず教室の中心になっていた。  今は、終業式前日の球技大会の話で盛り…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑤

 とうとう、見つかってしまった。 「あれ、紡くん?」  総合玄関から入って西棟へ向かう途…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑥

 病院へ行こうとした僕のもとに、着信があった。相手を見て、バスに乗る前でよかったと思う。  電話に出なかったら、機嫌を損なうことになる。そうなれば、今度電話をくれるのは、いつになることか。  以前、怒らせて、長期間連絡が来なかったときは、姉が倒れているのではないかと、やきもきした。  最近は、美空の見舞いや糸屋の監視で忙しく、あまり気に留めていなかった。 「もしもし、姉さん?」  くぐもった声で応答があった。目の前の車道を走る車の音にかき消されてしまうくらいの小さな