「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸①
七月も半ばになり、あと十日ほどで終業式。梅雨がようやく明け、まぶしい太陽にさらされる季節だが、僕の心には、まだどんよりと重い雲がのしかかったままだ。
帰りのホームルームが終わり、掃除当番でもない僕は、さっさと席を立とうとする。そこに、狙いすましたタイミングで、椅子を押さえつけられた。
立ち上がりかけていた僕は、中腰の状態で止まってしまった。太ももが椅子と机にぎちぎちと挟まれて、痛い。
無理矢理振り返ってみると、犯人は渡瀬だった。
彼はわざわざ僕のところまで来て、