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【note創作大賞2024】「ごえんのお返しでございます」

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note創作大賞2024参加中の「ごえんのお返しでございます」をまとめています。 スキやSNSでの拡散、ありがとうございます。応援よろしくお願いします。
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#ホラー小説部門

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸⑦

 結局その後、大騒ぎをしていた僕たちのところに、篤久の母が血相を変えてやってきた。  何…

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸⑥

 一緒に行く、と言ってくれた大輔の予定に合わせた、木曜日。肉のフジワラは木曜が定休だった…

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸⑤

 引き返してきた僕のことを、糸子はちらりと見上げた。いつもと違う。そう思ったのは、彼女が…

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸④

 大輔と渚は、ずいぶん先に行ってしまっていた。慌てて追いかけていく。 方角を誤らないのは…

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸③

 荷物を発送して、さらに気温が上がった昼下がりの道を歩く。  足取りが重いのは、暑さのせ…

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸②

 土曜日の昼下がり、僕は自室でぼんやりと過ごしていた。宿題なんてすぐに終わってしまって、…

「ごえんのお返しでございます」3話 黒い糸①

 七月も半ばになり、あと十日ほどで終業式。梅雨がようやく明け、まぶしい太陽にさらされる季節だが、僕の心には、まだどんよりと重い雲がのしかかったままだ。  帰りのホームルームが終わり、掃除当番でもない僕は、さっさと席を立とうとする。そこに、狙いすましたタイミングで、椅子を押さえつけられた。 立ち上がりかけていた僕は、中腰の状態で止まってしまった。太ももが椅子と机にぎちぎちと挟まれて、痛い。  無理矢理振り返ってみると、犯人は渡瀬だった。  彼はわざわざ僕のところまで来て、

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑨

 美空の真意はいったいなんだったのか。答えはすぐにわかった。  一命をとりとめたものの、…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑧

 購入した赤い糸を少し拝借して、糸子から受け取った五円玉の穴に通した。なんとなく、御利益…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑦

 梅雨明けはまだ遠く、今日もどんよりと曇っている。だが、僕の心はすっきりと晴れて青空だ。…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑥

 病院へ行こうとした僕のもとに、着信があった。相手を見て、バスに乗る前でよかったと思う。…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合⑤

 とうとう、見つかってしまった。 「あれ、紡くん?」  総合玄関から入って西棟へ向かう途…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合④

 美希たちは、相変わらず教室の中心になっていた。  今は、終業式前日の球技大会の話で盛り…

「ごえんのお返しでございます」2話 紅薔薇、白百合③

 放課後、部活も何もしていない僕は、まっすぐ家に帰るのが常だが、今日は違った。  商店街と住宅地の狭間、古民家に擬態した、ニッチな商材を扱う店に向かう。  途中で肉屋の店主の息子に声をかけられた。 「おー、紡。お前、コロッケいらん? つか買って! 俺を助けて!」 「どうしたの、大輔(だいすけ)さん」  彼は姉と同級生だったし、肉屋は昔からのおつかいルートのひとつで、僕のこともよく知っている。  クラスメイトとあまりなじめないのは、年上との方が、付き合っていて楽だから