[連載小説] episode.1 Is there love in the air? はじめての夜
白熱球のあたたかな灯りと、大理石の床。リコはエレベーターのボタンを押し、ゆっくり深呼吸をした。
川瀬さんが指定したホテルは、地下のエレベーターから直接客室フロアに行けるようになっていて、今のリコにはちょうどよかった。こういう時に人の多いロビーを抜けて、フロントの前を通っていくのは余計に緊張するのだ。妙にかしこまった感じで出迎えられるのも落ちつかない。
エレベーターに乗り込むと、リコはもう一度深く息を吸い込んだ。吐く息がふるえて、15階のボタンを押そうと伸ばした人さし指もふ