君と正月
『○○起きろー!正月だぞー!』
○「・・・」
『むぅ、起きない...これでもくらえ!』
○「ゔぇ!痛ってぇ!何すんだよ」
『あ、起きた』
○「起きたじゃないよ...痛いんだけど...」
『それは...○○が起きないのが悪い!』
○「とんだ暴論だな...」
『そんなことより、初詣行こっ!』
○「あれ、そういえばおばさん達は?」
『先に行ったよ、○○が全然起きないから』
○「ひかるも先に行ってくれて良かったのに」
ひ『○○起こさないと絶対昼過ぎまで起きてこないと思ったから残ってた笑』
○「はぁ...」
僕のことを起こしてくれたのはいとこの森田ひかる。僕と同い歳で容姿端麗、誰が見ても可愛いと言うほどだ。
僕の家族は年末年始とひかるの家に来て過ごす。親戚一同で新年を迎えて朝には初詣に向かうのだが、僕は毎年のように寝過ごしてる、それを起こしに来たのがひかるってワケ。
ひ『はーやーく!』
○「わかってるって」
着替えた僕はひかると一緒に家を出た。今から初詣に向かう。正直僕は神様とかなんぞ信じてはいない、ただいるなら一つだけ叶えて欲しいお願いがある。そんなことを考えながら歩いていると神社に着いた。
ひ『やっぱり人多いな』
○「そうだね」
ひ『○○はお願いすること決まってるの?』
○「んー、決まってもないしお願いしても叶わないだろ」
ひ『つまんないの』
○「つまんなくて結構」
ひ『人多いこれはぐれちゃう』
○「ほら」
ひ『んえ...』
僕はひかるの手を握った。これでも僕には振り向いてはくれないだろうけど。
僕はひかるに好意を抱いている、いつからかは分からない。気づいたら好きになっていた。だから今日の朝も僕にとってはスペシャルイベントだった、ひかるは多分僕のことをただのいとこだと思ってる。
神様がもしいるなら、ひかると僕を繋いでください。と願う。
ひ『...』
○「どうしたの?」
ひ『あったかい。○○の手』
○「そっか」
ひ『うん...』
○「そろそろ着くぞ」
僕達は参拝を済ませ、おみくじを引くために歩き始めた。おみくじを引き、毎年のように来てる公園で2人でブランコに乗っていた。
ひ『○○は、何をお願いしたの?』
○「ん、内緒」
ひ『ケチー!』
○「ひかるは?」
ひ『え...私は...』
モジモジとするひかるを見て僕は気づいた。これは恋愛についてだと、そしてその時点で僕の片思いが終了したことも。
○「ひかるってさ、好きな人とかいるの?」
ひ『えっ...?』
○「あ、いや、無理に言わなくていいよ」
ひ『...よ』
○「え?」
ひ『いるよ...』
それを聞いた途端、僕の片思いは本当に終わりを迎えた。でも、何故か逆に清々しかった。
ひかるが好きになるほどの人がいることを僕は嬉しさすら感じた。
○「そっかぁ...いたか」
ひ『え?』
○「俺さ、ひかるの事好きだったんだよね。いとこなの分かってて好きになってた、いつからかは分からないけど気づいたら好きになってた。だから、さっきひかるを離さない為に手を握った。
でも、聞けてよかった。」
ひ『...』
○「幸せになってね、それが願い」
ひ『...でよ』
○「え?」
ひ『勝手に自分の中で完結させないでよ!』
○「...」
ひ『私が好きなのは○○なの...』
○「は...?」
ひ『私だっていとこだって分かってた。だからこそ、告白も出来なくて...でも何も出来ないのが辛くて...そしたら今日、手を握ってくれた。あの時嬉しくて嬉しくて仕方がなかった...』
僕は夢でも見てるのかと思った。ひかるが僕の事を好き?あのひかるが?
何度も疑問に思ったが、チャンスは今しかないと思った僕は、勝負に出た。
○「なぁ、ひかる」
ひ『なに...?』
○「好き」
ひ『え...?』
○「いとこでも、恋人になれるんだよ。だからさ...俺と...」
付き合ってくださいと言おうとした所で、ひかるが僕に抱きついてきた。
ひ『ばか...お母さんとかになんて説明したらいいの...』
○「そんなん、いとこを好きになっちゃった〜って」
ひ『ねぇ、続き聞かせて?』
○「?」
ひ『さっきの』
○「あぁ...もうひかるの事離したくないからさ、俺と付き合ってください」
ひ『ばか』
○「え?」
ひ『私も好きだよ...○○。これからはいとこじゃなくて、彼女としてよろしくね...?』
○「ひかる...ん...」
ひ『よかった、ファーストキスとっておいて』
○「なんだよそれ...」
ひ『帰ろ?続きは私の部屋がいいかも』
○「唐突すぎる展開だな...」
ひ『彼氏に遠慮はしないもんね!』
○「はぁ...」
夕焼けがでてきた帰り道、僕達は夕焼けが作ったバージンロードの上を歩くかのように帰路を辿った。
「ひかるが振り向いてくれますように...」
これが僕のしたお願い事。
END
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