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"Remember who you are."とドラッカーは最初に言った。

米国ドラッカースクールでドラッカーから直接講義を受けた藤田勝利氏。彼がドラッカーから最初に聞いた言葉は、「あなたが誰なのかを思い出せ」”Remenber who you are.” だったという。

(下のリンクのつづきになりますが、単独でも読んでいただけますm(_ _)m )

サラスバシーが、起業家を排出するために最も重要だとしていることがある。

それは、

「私は誰だ」
“Who I am”.

という問いだ。

ドラッカーの問いと全く同じである。

「私は誰だ」
「誰を知っているんだ」
「何を知っているんだ」

“Who I am.”
“Whom I know.”
“What I know.”

この3つの問いはエフェクチュエーションの根幹をなすが、書籍『エフェクチュエーション』では影を潜めていることもあるのか、インターネット上の解説ではほとんど見ることがない。ただし、彼女の各主要論文において何より重視されているのだ。

他者と向き合うための哲学。そんな哲学を持った具体例としてサラスバシーが挙げているのが、興味深いことにドン・キホーテである。

「彼はなぜあのような奇妙な行動をしたのか」
「それは、、、」
「、、、彼が彼自身のことをよく知っていたからだ」

『ワンピース』の主人公のルフィや、『鬼滅の刃』の映画で話題になった煉獄杏寿郎も同じだろう。

彼らは成功と失敗を超えた基準で動いている。起業家も同じであったように。そんな英雄的な行動基準は、ドラッカーが重視した「私は誰だ」という問いから生まれているのだ。

ならば「私は誰だ」、この問いに対する明確な解答はどう得られるのだろうか。

その考察をするためにエフェクチュエーションの根幹でもある、ある突飛な質問を投げかけさせていただきたい。

「原因と結果、どちらが先だろうか」

と。

科学的に考えれば原因が先に決まっている。論理や戦略や成績は、原因を積み重ねて結果を出すではないか。

しかし、芸術的に考えれば結果が先にはならないだろうか。素晴らしきもの、すなわち天啓が先にあるから表現がほとばしるのではないだろうか。

cause(原因) and effect(結果)の関係は、自明なようで自明ではなかった。

エフェクチュエーションの論文群は恐るべきほど明快だ。しかし、あまりにこれまでの科学と違ったことを話しているために、世界中の有能な研究者たちもなかなかこれを掴みきれない。

ネットでエフェクチュエーションについて検索すると、少ないが日本語でも解説がある。

「コーゼーションパラダイムから、エフェクチュエーションパラダイムへの変換」
「従来の目的を重視する考え方から、すでにそこにある手段から始める行動的な理論」

分かったような気がするが、これでは何もわからないのだ。まず、コーゼーションが因果論を意味することを誰も理解していない。「手段から始めるのは、目的ではなく過程を重視するから」とも書かれていない。こちらは書籍に明確に述べられているのに、だ。英語で検索しても同じで、やはり要領を得ない。

そこでこのエフェクチュエーションを、「芸術家とは何か」を語ってくれた磐田の若きアーティスト「遥奈」の言葉から紐解いてゆきたいと思う。

(以下は遥奈さんの音楽です)

遥奈のラジオ番組、2020年9月12日の『深海ラジオ』は、ある映画の言葉から始まった。

「道を知っていることと実際に歩くことは違う」

映画のコピーにも使われていた有名なセリフだ。1999年の大ヒット作、『マトリックス』である。

「机上の学問は現実では役に立たない、ということか」

上のセリフを僕自身もそんな風に解釈してきたのだけれど、彼女はそうではないと言う。

「例えば絵や曲を描こうとするんじゃなくて、もうすでに出来上がっている世界があるんだと思います。もう絵があることを知らなきゃ。そうすればその絵は自ずと描かれるから」

「実践しなきゃとか、やらなきゃとか、努力するのが大事なんじゃなくって、もうそれが出来上がっていることを知らなきゃ。アーティストなら・・・」


いつも唸らされる、彼女には。
僕はこの言葉から、ミケランジェロと運慶の話を想起させてもらった。

「ミケランジェロは大理石を彫刻しているのではない。大理石の中の天使を自由にしている」

作っている最中の作品は、もう出来上がっている。遥奈の話と同じだ。

運慶にしてもそうだった。木の中の大日如来様の埃を払うことが、運慶自身を知ることで、彼自身であることだったのだ。

私たちはいつの間にか、全ての物事をプログラムできると思ってしまった節がある。すなわち、原因が全て結果に先んじると。しかしそれは因果論(コーゼーションパラダイム)の中だけの話に過ぎなかった。

しかし、一目惚れや天職などの、運命的な出会いをプログラミングすることなどできるはずがない。むしろ、そのようなことをする必要もない。なぜなら我らは生まれた時からすでに、結果を得ているからだ。

Remember who you are.

我らはそれを思い出す必要があるのだ。


・・・つづきます。

表紙、逆転人生

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