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PMFのその先へ。前年度比16倍の事業成長を実現した舞台裏

 こんにちは!すべての経済活動を、デジタル化したいhayatoです。
この1年を振り返り、担当プロダクトの事業成長の軌跡を振り返りながら、
得られた学びについて、シェアしたいと思います。

この記事は、#BtoB事業開発アドカレ 20日目です。
前回の記事は、株式会社アトラエのもりやまんさんによる「行動コストの低い人が、事業開発を上手く進められるという話」でした。

めちゃくちゃ良い記事ばかり出ているので、事業開発に関わる人はぜひ読んでみてください!

自己紹介

株式会社LayerXにて、法人支出管理SaaSであるバクラクシリーズの事業開発を担当しています。現在は「バクラク電子帳簿保存」の事業開発を主なミッションとして担当しています。
(詳細は先日インタビュー頂いた記事を貼っておきますので、よければ是非ご覧ください!)

バクラクの事業開発では「強固な事業ポートフォリを作る」ことをミッションに以下のような役割として活動をしています。

事業開発のGokanさんのnote参照 (以下)

2023年を振り返ってみました

2023年1月時点と比べると、累積ARRが約16倍に成長しました。
担当プロダクトである「バクラク電子帳簿保存」は2024年1月に施行される改正電子帳簿保存法へ対応するサービスとなっており、
法改正への対応需要から加速度的な成長を実現することが出来ました。

本noteではこの1年の歩みを振り返りながら、
以下のトピックについてお話したいと思います

  • 事業開発担当がどのような役割を担い、非連続成長を実現したのか?

  • この1年間を振り返って、どのような学びが得られたか?

事業成長のイメージ図
(実際の累積ARRの成長実績とは異なります)

前年度比16倍成長の舞台裏

前提:2023年1月時点での事業状態

1月時点では「PMF」までは完了しており、よりグロースに向けて踏み込んでいくぞ、というタイミングでした。

  • 特定セグメントでのPMFが出来ており、GTMフェーズに到達した状態

  • 戦略的に狙う顧客セグメントを策定し、販売戦略の検証を本格的に実施

  • PMF実現に向けて少数精鋭で取り組んでいた体制から、更にメンバーを増員し、GTMチームを組成しました

コンパウンドスタートアップにおけるケイパビリティ・マネジメント
by LayerX バクラク事業部長 makisan noteを参照

GTMプロジェクトで担う事業開発の役割

GTMプロジェクトを3つのフェーズに分けながら、どんな取り組みを実施してきたか、についてお話できればと思います。

事業成長のイメージ図
(実際の累積ARRの成長実績とは異なります)

フェーズ1. チーム組成期

事業状態:初期仮説の仮説検証を実施する
メンバー数:biz/dev合わせて10名未満 (*兼務含む)
向き合う問:初期仮説に基づいて、事業成長の道筋・勝ち筋を作る事が出来るか?
事業開発が担った役割:プロジェクトリーダーを担当。事業を前に持っていく推進力たる役割を担った。

チームを立ち上げたばかりの頃は、戦略面と実行面を分けず、1人で何役もこなしました。具体的には営業活動も実施しながら、マーケチームと連携した施策の実行から、顧客ニーズを探索し、あるべきメッセージを設計するなど、マルチに活動していました。このあたりの事業フェーズでは、ぶっちゃけ何でも屋になりながらでも、事業をとにかく前に進める、そんな起爆剤的な役割が事業開発が担う役割かなと感じています。

フェーズ2. チーム拡大期

事業状態:フェーズ1で特定した勝ち筋を、よりスケーラブルに・より生産性高く実行できる体制を作る
メンバー数:biz/dev合わせて10〜20名 (*兼務含む)
向き合う問:再現性高いオペレーションを構築できるか?事業開発担当が主導せずとも、各チームのリーダーが自ら引っ張っていくような組織体制を作れるか?
事業開発が担った役割:bizとdev、the modelの各ファネル同士がスムーズに連携できるハブとなり、事業全体の総合力を高める動きを担った。その中で各チームのリーダーを成長支援を実施した。

この時期はチーム力の最大化を実現する事に心がけました。事業開発担当がある種でしゃばってしまうと、それがチームの成長ブロッカーになりうるため、自分がやるところ・任せるところを分け、チームが上手く回る体制づくりを進めました。

フェーズ3. チーム成熟期(現在)

事業状態:フェーズ2で構築したビジネスオペレーションを土台に、更に踏み込む。生産性高く事業成長を実現する。
メンバー数:biz/dev合わせて20名以上 (*兼務含む)
向き合う問:想定通りに事業が伸びるか? &(if 事業を伸ばしきれているなら)事業の非連続成長を実現する新たなPMFのタネを見つけられるか?
事業開発が担った役割:事業が順調に進捗したため、新たなPMFのタネを見つけるための探索活動を進行中。

事業が順調に進捗していたため、新たなPMFのタネを見つけるべく探索活動に振り切りました。既存ユーザへのインタビューを通して、ユーザの新たな困りを探索したり、業種特化でのニーズヒアリングを実施しながら、新たしいPMFのあり方を模索しています。
(現在も探索活動を継続していますが、答えのない森を探索する難しさを痛感しています。。。事業開発の苦しみ・楽しみを実感する探索活動については、別途改めてnoteでまとめますのでお楽しみください!)

バクラク電子帳簿保存 事業開発の役割変遷まとめ

GTMプロジェクトで得られた学び

【1】手数を増やして、スモールに仮説検証を回す事が何よりも重要

GTMプロジェクトで最も重要な事は、とにかくスモールに検証する手数を増やすことだと感じます。
GTM戦略に基づいて注力ターゲットを定めた後、真っ先に課題になるのはリード獲得、そして次に課題になるのが商談のアポイント獲得、そして最後に課題になるのが商談実施後の受注率向上です。

最優先課題のリード獲得が出来なければ商談での仮説検証が回せず、事業が前に進まないため、まずはリードを増やすためのあらゆるアプローチを実施しました。
スピード重視でPdM、事業開発、そしてマーケ担当と一緒になって戦略〜施策設計し、注力ターゲットのリードを定義。各種whitepaper等のコンテンツ作成から、BDR施策の実行を進め、リード獲得手法の仮説検証サイクルを早く回すことに注力しました。一旦スモールに回してみて、効果検証をしながらリード獲得手法を磨いていきました。

このようなスモールに検証する取組はインサイドセールスによる商談獲得活動、フィールドセールスによる提案活動においても同様に必要だったと感じます。
小さくスモールに検証し、失敗体験・成功体験の学びのサイクルをいかに早められるか、この仮説検証スピードこそがGTMプロジェクトにおいて最も重要だと学びました。

【2】正しく課題を見極めるための「軸」を作る

GTMプロジェクトの課題探索フェーズでは、課題が無限に発生します。ホントに無限に課題が生まれ続けます。正直、上手く行かないことばかりでした。商談の受注率も当然最初は低いですし、フェーズ滞留も当たり前です。だからこそ、"課題"を見極めることが重要だと感じています。

SaaSプロダクトの事業では所謂"The Model"のオペレーションを構築し、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスが、分業体制の元で、各ファンクションチームの"転換率"を改善する取組を実施することが多いかと思います。

しかし、この体制が上手くいくのはある程度の勝ちパターンが見えている事業だからこそであり、新規事業の立ち上げでは同じ尺度で当てはめられません。

例えば、「バクラク電子帳簿保存」の事業立ち上げでは、電子帳簿保存法への対応を目的としたプロダクトだったため、お客様社内での電子帳簿保存法対応のプロジェクト進捗に応じて、導入検討の進捗が大きく変わりました。
通常の商談フェーズで考えると、「検討合意できない滞留商談」が大量に発生しており、適切に課題を深ぼることが出来ませんでした。

そのため、お客様が電子帳簿保存法対応を進める際のジャーニーに基づいた商談フェーズを再設計し、商談の振り返りの型として活用しました(以下スライドに例を記載)。その結果、「検討合意できない滞留商談」の中でも、商談の進捗状況を適切に色分けすることができ、顧客の検討プロジェクトを踏まえた上での商談アプローチを改善することが出来ました。

このように一見すると"課題"と捉えられるような事象でも実は解くべき課題ではなく、違った切り口から振り返ることで本当に解決するべき課題が見つかることもあります。
どういった切り口から実績を振り返ることで適切に課題を見つけられるのか?を考えた上で、正しい課題を見つけるための「軸」を設けるのが有効だと感じます。

Box商談の振り返りの型
(Boxは「バクラク電子帳簿保存」の製品名を指す社内用語)

【3】成功事例のストーリを語り、モメンタムを作る

ここまではちょっと真面目な事を書いてきたので、
最後に「エモさ」マジで大事だよって話をしたいと思います。
皆さんもご経験お有りかと思いますが、GTMプロジェクトの探索期ではどうしても成果が見えづらいんです。GTMチームで着手している商談の中でも当月受注案件が数えるほどしかなかったり、色々不安になりますよね。

「ホントにいけんのか?」
「このままの方向性で進んでいいの?そんなに絞って大丈夫?」
「ぶっちゃけ全然いける気しないんだよな・・・」
答えのないこんな不安を感じる瞬間も多々あるかと思います。

このように戦略に自信が持てない、プロダクトに自信が持てない等、不安に飲まれてしまうと、お客様にも良い提案ができなくなりますよね。

1年をGTMプロジェクトを通して、結局自分たちを支えてくれるのは「お客様のお声」だと改めて感じました。「何がお困りで、自社サービスの何を喜んでくれて、どんなポイントを評価頂いたのか」、このようなユーザストーリの積み重ねがあって初めて、価値が届いていると実感できる。そして自信が生まれる。
小綺麗なパワーポイントを見てもね、やっぱり自信は持てないですよねw 

N1の成功事例や、コレ上手くいった!といった気づきをしっかりとチーム内外に共有していくことがリーダーとして重要かと思います。
きれいなパワーポイントの資料ではチームメンバーの心は動きません。お客様のお声を実際に聞いたり、絶対いける!といつも信じているリーダーの背中を見て、自信につながるのだと思います。

とある上場企業の受注報告(例)

最後に

この1年を振り返って、事業開発って本当に総合格闘技だと思います。
答えはどこにもなく、己で正解を作るしか無い、そんな過酷な仕事ですが、だからこそ面白い仕事でもあります。

この記事を読んで、「LayerX・バクラクの事業開発面白そう!」とか、
「ぶっちゃけどんなツラいことあったんですか?w」とか、
「事業開発あるある話したい!」等、
ちょっとでもご関心いただけた方、是非カジュアルにお話ししましょう!

この記事は 「BtoB事業開発アドベントカレンダー」 の20日目の記事でした!
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明日は、トキハナツの岸本さんよりお送りします!

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BtoB事業開発アドカレ 1/2
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