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オーディオパワーアンプにおけるEMC対策の実装例

Wikipediaによると、電磁両立性(EMC)の対策として15項目あげられています。

EMC対策

  1. 機能接地

  2. 中性線接地の維持

  3. 電子基板の設計

  4. 静電シールド内蔵フォトカプラ

  5. スナバ回路

  6. PFC回路

  7. ツイストペア

  8. シールド線

  9. ファラデーケージ

  10. CRフィルター

  11. フェライトコア

  12. Yコンデンサ

  13. 差動・バランス線路

  14. バリスタ

  15. ラインフィルター

これらの項目が写真のオーディオパワーアンプでどのように実装されているのかを見ていきます。

まず、機能接地ですがこれは、写真の緑のケーブルで、左下のラインフィルターのアース端子と左から3列目の正負電源用CMCフィルターのFGを接続し、左右のヒートシンク上のD級アンプのスピーカー出力用CMCフィルターのグランドを接続することで実装しています。

中性線接地の維持は、3Pのコンセントのアース端子で実装しています。

電子基板の設計では、ベタアースの外周部分がループアンテナにならないように入力部、スイッチング部、出力部でブロックを分けています。また、尖ったベタパターンがないようなアートワークとしています。

静電シールド内蔵フォトカプラとしては、2列目LLCコンバータで2次側から1次側へのフィードバックに使用しているTLP2304はシールド内蔵です。

スナバ回路としては、スイッチング部につける場合もありますが、損失が増えるのと、臨界モードPFC、LLC共振ハーフブリッジ・コンバータ、ZVSデッドタイムのD級アンプで構成しているため、省略しています。

PFC回路は臨界モードを採用しています。

ツイストペアは、信号ケーブル、電源ケーブル、スピーカーケーブルなどで+-がペアになる部分はツイストしてあります。

シールド線は電源ケーブルに編み線が組み込まれているかもしれませんが、意識的には使用していません。

ファラデーケージは、筐体がアルミパネルの組み合わせで、パネル間の導通を維持するのが難しいため、意識的には使用していません。

CRフィルターはCMCフィルターやLPFなど随所に使用しています。

フェライトコアは、PFCチョーク、CMCチョーク、LLCトランスなどで使用されています。

Yコンデンサは、ラインフィルタ、CMCフィルターで使用されています。

差動・バランス線路は、入力信号部、電源入力部、スピーカー出力部で使用しています。

バリスタは使用していません。

ラインフィルターはACインレット一体型のものを使用しています。

というわけで、写真のオーディオパワーアンプでは、基本的なEMC対策がきちんと適用されています。




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