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宝塚記念(GI)全頭診断

6月23日(日)に京都競馬場で行われる宝塚記念(GI)の全頭診断となっている。

これから行う全頭診断は各馬の特徴や適正舞台、臨戦過程などを細かく分析し、最後に【総合評価】として A・B+・B・B-・C の5段階で評価する。

※レース前日に雨予報・当日も曇時々雨予報となっている(20日現在)ので、稍重〜重馬場で開催されることを想定する。
※今回の本レースは06年以来の京都競馬場での開催となる為、過去10年の傾向は予想に考慮しない。

予想のポイント

①京都外回り2200mはラスト4Fを如何に速く走れるか

今年の本レースは阪神競馬場の改修工事の影響で、京都外回り2200mで開催される。京都外回り2200mはコースの特徴は以下の通り。

スタートから1角まで約400mと長い
・向正面途中から残り約4F地点にかけて高低差約4mの登り坂
・そこからゴールまでは下り坂+平坦
最後の直線は約400mと長い

そして上記のようなコース形態であることから、以下のような展開になりやすい。

・スタートから1角まで約400mと長い
→隊列がすんなり決まりやすく、ペースが落ち着きやすい
・向正面途中から残り約4F地点にかけて高低差約4mの登り坂
→ラストスパート前にペースが緩みやすい
・そこからゴールまでは下り坂+平坦
・最後の直線は約400mと長い
→下り坂で半ば強制的にペースが上がり残り4Fのスピードの持続力勝負になりやすい

このことから前半で上手く折り合いを付けながら脚を溜め、最後の4Fをトップスピードで走り抜く持続力が問われる。
またラストスパート開始地点から下り坂が始まり、その坂を利用して加速することができる為、加速力はさほど問われない。

②開催最終盤+週末の雨予報=外差し馬場+道悪適正

京都競馬場は22・23日が開幕最終週であることに加えて、週末の雨予報。その為、馬場はかなり荒れると思われる。
レース当日は外差し馬場になっていることが濃厚。また雨量次第ではあるが、道悪適正が問われる馬場になりそうなことにも注意したい。

③明確な逃げ馬不在=好位差しが理想

今回のメンバーは明確な逃げ馬が不在。①で述べたコース形態からの特徴も踏まえると、スローペース濃厚か。
ただ単純に前有利かと言われるとそうでもなく、ラストスパート開始地点から下り坂によって半ば強制的にペースを上げさせられる為、逃げ・先行馬が簡単には残りにくい。理想は中団好位から差せる馬だろう。

全頭診断

カラテ

2年前の新潟記念(GIII・新潟2000m)1着や去年の新潟大賞典(GIII・新潟2000m)1着であることから、開幕最終盤の荒れた馬場や道悪馬場は問題なし。ただ直近2年間の好走は新潟2000mに限定されており、2走前はその得意条件で14着と惨敗。ピークアウト感がある。
また鞍上は2走前から主戦騎手の菅原騎手が降りて乗り替わりが続いており、今回も初コンビの岩田望来騎手なのはマイナス。
また前述の好走時はいずれも中12週以上と間隔が空いているが、今回は休み明けから中3週→中2週のローテ。臨戦過程も評価できず。
【総合評価】C

シュトルーヴェ

2走前の日経賞(GII・中山2500m)、前走の目黒記念(GII・東京2500m)と問われる適正が異なる舞台で連勝と勢いあり。
鞍上は初コンビのレーン騎手も、堀厩舎×外国人騎手の組み合わせはいわゆる勝負パターンで好感が持てる。
ただ2走前は上がりのかかるタフなスタミナ勝負、前走はラスト3F地点でラップが急加速する瞬発力勝負といずれも今回問われる適正には合致せず。
また関西圏でのレースは今回がキャリア初。
一定の能力は認めつつも高くは評価できない。
【総合評価】B-

ジャスティンパレス

1年前の天皇賞・春(GI・京都3200m)1着と京都外回りの舞台は問題なし
鞍上は4戦4勝のルメール騎手に乗り替わるのもプラス。
ただ古馬になってからの馬券内は3000m超 or 先行馬総崩れのハイペースとスタミナが問われた勝負。スローペース濃厚の2200m戦では持ち味のスタミナ能力の高さはやや活きにくいか。スタミナ活かすには少しでも馬場が渋ったほうが良さげだが、重馬場以上の道悪適正が未知数なのは悩みどころ。
また近走は出遅れが着順に響いている印象。スタートが上手いルメール騎手が鞍上なのは良いが、また出遅れると差し損ねも。
【総合評価】B

ソールオリエンス

内前有利で外を通って差しての4着と負けて強しの内容だった2走前の中山記念(GII・中山1800m)や去年の皐月賞(GI・中山2000m)1着であることから、道悪馬場になるのは歓迎のタイプ。
またキャリアの大半が外を回して差す競馬と不器用なタイプなので、外差し馬場になりそうなのもプラス
現状古馬相手の重賞では結果を残せていないが、前走の大阪杯(GI・阪神2000m)はラップが加速した5F目で外を回して位置取りを上げる負荷の大きい競馬、2走前の中山記念は前述通り、3走前の有馬記念(GI・中山2500m)は最内枠から外を回せず直線で詰まって進路を何回か切り替えるロスありと近3走はいずれも度外視できる内容
ただ位置取りは後方からとなることが多く、どうしても展開待ちになりがち。メンバー構成から最後方からとなると差し損ねの可能性も高く、当日の位置取りは重要。
【総合評価】B

ディープボンド

ズブい馬で加速に時間がかかる為、 ラストスパートに下り坂のある京都外回りは本馬にとってベスト舞台
道悪実績も十分あり
ただ本馬の持ち味は他馬が垂れていく中でもバテないスタミナ。スローペース濃厚の2200m戦ではやや持ち味が活きにくいか。
また重賞での馬券内のほとんどは3000m超で、2200m以下は古馬になってからは無し。中距離だとややスピードに欠ける印象なので、良馬場開催だとやや厳しいか。
【総合評価】B(良馬場ならB-)

ドウデュース

メンバー唯一のGI複数回勝利(3回)と実績はNo.1で、鞍上も主戦騎手かつ京都大得意の武豊騎手と一見隙はないように思える。
ただ2つの懸念点あり。
1つ目は京都外回りという舞台。本馬の持ち味はコーナーでの加速力の高さ。小回り・内回りコースでこそ活きるもので、外回りコースなうえラストスパートに下り坂があって他馬と加速力に差をつけることができない京都は本馬にとって最も相性の悪い舞台だろう。
2つ目は休み明け初戦の臨戦過程。本馬は5代血統表内にStrawberry Road(叩き良化型血統)が内包されており、実際戦歴を見ても「弥生賞2着→皐月賞3着→東京優駿1着」「天皇賞・秋7着→ジャパンカップ4着→有馬記念1着」のようにレースを使う毎に良化していくタイプ。今回は約3ヶ月の休み明けかつ海外帰り初戦と臨戦過程は評価できない。
【総合評価】B-

ヒートオンビート

中4週以内は(2-2-2-3)と優秀で、中3週の臨戦過程は○
ただ近2年以内のGII以上での馬券内は東京2500mの舞台に限られており、前走はその得意条件で0.3秒差とはいえ7着。ピークアウト感あり。
また綺麗な良馬場が理想なタイプなので、開幕最終週に加えて道悪が想定されるような馬場はマイナス。
【総合評価】C

ブローザホーン

3走前の日経新春杯(Gii・京都2400m)1着や前走の天皇賞・春(GI・京都3200m)2着が示すように、京都外回りは相性が良い舞台
また良馬場時が(2-2-2-4)に対して、道悪時は(4-1-2-3)と週末の雨予報は歓迎のタイプ
さらに主戦騎手の菅原騎手が継続騎乗で、中7週の臨戦過程(中5〜9週時は(2-1-4-1)と好成績)もプラス要素。
状態さえ問題なければ現状本命候補筆頭
【総合評価】A

プラダリア

古馬になってからの2勝はいずれも京都外回りコースなので、今回の京都代替開催はプラス
また道悪時は過去3戦でいずれも馬券内と週末の雨予報は歓迎
また先行できる脚質も今回のメンバー構成なら展開が向く可能性は高い
ただ現状の外差し馬場では他馬に外から差される可能性もあり、勝ち切るのは難しい印象。
とはいえそこまで人気はしないはずで、オッズ妙味あり。
【総合評価】B+

ベラジオオペラ

重馬場ハイペースで先行勢総崩れとなり明らかに展開不利だった去年の皐月賞(GI・中山2000m)を除くと、競馬場・馬場・展開問わずで走れている優等生タイプ
また先行でも差しでも競馬ができるので、今回のメンバー構成なら先行できれば展開が向く可能性は高い
ただ今までの戦歴からベストは阪神内回りコースの印象で、京都外回りコースの代替開催は若干マイナスか。
とはいえ明確なマイナス要素はなく、押さえは必須。
【総合評価】B

ヤマニンサンパ

近3走は京都競馬場で惜敗が続いているが、GIII・L・Lと戦ってきたメンバーレベルはそこまで高くはない。
また差し損ねが続いているので距離延長自体はプラスの印象も、常に後方からとなる脚質はメンバー構成上マイナス。
叩き2戦目で上昇が見込めるとはいえ、メンバーレベルが一気に上がる今回好走するのは難しいだろう。
【総合評価】C

ルージュエヴァイユ

3走前のエリザベス女王杯(GI・京都2200m)2着の実績から京都外回りコースの代替開催自体はプラス
ただ2走前の京都記念(GII・京都2200m)は外を回す競馬で0.7秒差の9着と惨敗。3走前のエリザベス女王杯は内枠発走からロスなく立ち回っての好走であることを考えると、2200mはやや長い印象。それに加えて開幕最終週の道悪馬場とタフな馬場になる想定は本馬にとってマイナス。
内をロスなく立ち回ることが必須条件も、現状の内があまり伸びない馬場に逆らうことになりマイナス。
一定の能力は認めつつも今回は軽視したい。
【総合評価】B-

ローシャムパーク

本馬の得意条件はスタミナが問われるタフな持続力戦なので、開幕最終週のタフな馬場は合うだろう。前走の大阪杯(Gi・阪神2000m)も5F目付近で自ら動いてラップを加速させることで自分の得意パターンに持ち込めた。
ただ今回の京都外回りコース+スロー濃厚のメンバー構成では残り4Fのスピードの持続力勝負となりそうで、本馬の得意条件とはズレる印象。前走のように自ら動くとなると京都の登り坂で加速することになり、かなり負荷のかかる競馬となってしまう点から京都代替開催はマイナス。
また重賞では一貫して小回り・内回りコースを使われており、大箱コースはそこまで得意ではない可能性がある。
道悪も稍重までは問題ないが、重馬場だった6走前のスピカS(3勝・中山1800m)で0.6秒差の5着と惨敗。メンバーレベルもそこまで高くなかったことを考えると、重馬場以上の道悪はダメなタイプか。
一定の能力は認めつつも今回は軽視したい。
【総合評価】B-

まとめ

全頭診断の結果をまとめると以下の通り。

【A評価】

ブローザホーン

【B+評価】

プラダリア

【B評価】

ジャスティンパレス、ソールオリエンス、ディープボンド(良馬場以外)、べラジオオペラ

【B-評価】

シュトルーヴェ、ディープボンド(良馬場)、ドウデュース、ルージュエヴァイユ、ローシャムパーク

【C評価】

カラテ、ヒートオンビート、ヤマニンサンパ

以上。


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