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【連載】西洋美術雑感

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西洋美術から作品を取り上げてエッセイ評論を書いています。13世紀の前期ルネサンスのジョットーから始まって、印象派、そして現代美術まで、気ままに選んでお届けします。
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#ゴッホ

西洋美術雑感 43:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「刈り取る人のいる麦畑」

さて、この西洋絵画雑感もこの印象派で最後にしよう。この後の美術はさまざまな流派に分かれ、いわゆる現代美術の時代へ入って行くが、それはまたの機会ということにしよう。ここでは、印象派の後期の作品として、ふたたびヴィンセント・ヴァン・ゴッホの画布を出して締めようと思う。 実はこの「刈り取る人のいる麦畑」という、ゴッホが南仏のサン・レミの精神療養所で描いた作品には、個人的な思い入れがある。僕がこんな美術批評的な文をなぜ書いているのかという理由に、もっとも深く関係する画布で、僕はこ

西洋美術雑感 40:ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「オーヴェールの教会」

ゴッホは僕にとって特別な画家である。かつて上野のゴッホ展で「刈り取る人のいる麦畑」という絵を見て、それによって僕は西洋美術に開眼したからだ。したがって彼は僕の好きな画家というだけではなく、いわゆる人生の恩人であった。僕に、膨大な西洋美術のめくるめく魅力を教えてくれた人、ということになるからである。そんな大切な存在であり、その後自分は、ゴッホに関するエッセイ評論まで書き上げ、そこに、彼の芸術について自分が考えたことをすべて書いた。 その本に書いたことの骨子は、ゴッホという人