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【連載】西洋美術雑感

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西洋美術から作品を取り上げてエッセイ評論を書いています。13世紀の前期ルネサンスのジョットーから始まって、印象派、そして現代美術まで、気ままに選んでお届けします。
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#セザンヌ

西洋美術雑感 39:ポール・セザンヌ「リンゴの籠のある静物」

再びセザンヌを取り上げよう。なぜセザンヌが多いかというと、それはやはり彼が、その後の現代美術に多大な影響を与えた、ということが大きいからだ。彼自身は遅咲きな人で、中央のパリの画壇では彼の絵はなかなか認められなかった。後年、田舎にこもってひたすら描き続けたが、その画布は、まず先に、他の画家たちを説得して行ったのだが、最終的に、その影響力は絶大なものになった。 彼は、その現代的な絵画感覚ゆえに、現代美術の元祖みたいに解説されることが多い。そのせいで、さぞかし先進的な感覚に富ん

西洋美術雑感 36:ポール・セザンヌ「水浴」

これはセザンヌの晩年に描かれた超有名な絵「水浴」である。実は、正直、この絵は取り上げたくなかった。というのは自分は、この絵が好きじゃないからなのだが、前回のアングルとの比較から、いちばん極左な(あるいは極右?)これを出すのがよかろうと思って、出している。 単に好きじゃないなら無視すればいいのだが、この場合、そうもいかない。セザンヌの絵については、僕は、前に出したサント・ヴィクトワール山の風景画や、まだ出していないが彼の林檎を描いた静物画など、大好きなのである。その同じ画家