ファンサービスの重要性について

お笑いって職業は成功への道があまり体系立っておらず、ふんわりとそれっぽい事が理論として先行しがちな傾向にあるな、と1年弱この業界に関わってきて感じています。その理由の一つが「面白い事」を作り出すことと「売れる」ということの意味の違いを曖昧に捉えていることなのではないかなと個人的に思っています。そこでこの違いについて少し考えてみる事にします。

・飲食店に例えて考えてみる

お笑いというのは大きい分類で分けて考えた時にサービス業です。第1次産業でも第2次産業でもなく、紛れもない第3次産業であり、大衆に娯楽を提供する仕事であります。という事は同じサービス業である「飲食店」に例えて考えてみるとわかりやすく分析できそうな感じがします。少し「飲食店」に例えて考えてみます。

面白いネタを作る、という行為は提供する料理すなわちメニューを作る作業に似ています。お客様に提供する商品を作り上げるという行為ですね。ここも少し考える事があるのですが、また別の話なのでちょっと置いておきましょう。

今回考えるポイントは美味しい料理を出すお店が必ず繁盛するのか、というお話です。

・売れるということは一体何か?

「売れる」という状態はファンが増え続けていく状態を指します。一度だけたまたまそのお店にくるお客様がいくらいても「売れている」状態であるとは中々言い辛いです。一度来てくれたお客様が「ああ、このお店はいいお店だからまた来たいな」と思ってくれてまた来てくれる。そんなお客様が増え続けていくことが「売れている」状態である、と思います。

では、ここでクエスチョンですが、人がもう一度このお店に行きたいな、と思う理由に何があるでしょうか?飲食店が常連客を獲得するためのポイントは3つに絞られると言います。

”1つ目は料理の味が優れていること、2つ目が居心地のいい空間を提供できているかどうか。そして最後の3つめは、心のこもった接客ができているかどうかです。なかでも「接客」はゲストの心を掴む重要なポイントであり、これが欠けていると、いかに「料理」や「空間」が素晴らしくても常連客を獲得することはできません。そこでここでは、「接客」の重要性について、特に常連客を掴む接客術についてご紹介していきます。”

以上は上記URLからの引用ですが、最重要なポイントは「接客」であるとしており、ゲストの心を掴む最も重要なポイントは「接客」である、と言い切っています。詳しくはURL先をクリックして読んで頂くとして、当件は皆様にも覚えがあると思います。

自分たちがお店を選ぶ際に「美味しい」と「接客がいい」では果たしてどちらのお店を選ぶでしょうか?勿論「美味しくない」というのは論外ですが、美味しさが多少劣っていたとしても接客がいい店に行きたい、と思うのが世の常ではないでしょうか?接客がいい、サービスが行き届いていると思えるお店が「売れるお店」に進化していくのです。

・ファンサービスの重要性

「売れる芸人になる」ということにテーマを戻してみましょう。面白いネタを作るというのは最低限の美味しい料理ということと置き換えられると思いますので、これは「売れる芸人になる」為の所謂”最低条件”であると思います。まったく箸にも棒にも掛からない商品を提供しているのでは売れるものも売れません。ですのでまずは最低限美味しいと思ってもらえる料理、すなわち「面白いと思ってもらえるネタを作る」ところがスタートであると思います。

さて、美味しいと思って頂ける料理が出来たら次に売れるためにしなければならないことは何でしょうか?世の中には美味しいと思ってもらえる料理、つまりは面白いネタを出す芸人さんは数多にいます。

その中で「売れる」つまり「ファンを獲得していく」為に必要なもの一つは「ファンサービス」であると感じています。

例えば一流のサービスマンの基本で「ファンの方の顔(と名前)を覚える」というのがあります。一度しか行ったことがないお店に再来店したときに、店員さんに覚えて貰っていたらちょっと嬉しい気持ちになりますよね。これは当然お笑いの現場でも同じことが言えると思います。一度見にいったことがある芸人さんのライブに再訪した際に「いつもありがとうございます」とお礼を言われたらちょっと嬉しくなりますよね。嬉しくなったら「この人たちを応援したい」という心理に辿り着くのは容易そうです。

「応援したいな」と思ってもらえたら次のライブにも足を運びやすくなるでしょう。もしかしたら友人も連れてきてくれるかもしれない。SNSで「感じが良かった!」と書いてくれればバズるかもしれない。そうしてまた増えたお客様を丁重にサービスすることでまたファンが増えます。こうして「売れる」状態は作られていきます。

当然ですけど・・・

面白いものをストイックに作り続けていく事を否定しているわけではありません。しかしながら「笑い」の構成要素の一つが集団心理であることはタイタンの学校の吉田たかよし先生の授業を受けられた方であればご存知の事だと思います。つまりファンの方が増えれば増えるほど「笑い」が起きやすい、伝搬しやすい状態が出来ることは間違いありません。「笑い」を作る為には「ファン」を増やす事とも密接に影響がありそうだと分析できます。

「ファン」が増えていく事で笑いが伝搬してより「面白い雰囲気」が出来上がっていって、更に「ファン」増えていく。こうやってムーブメントというのが作られていくのだと思います。勿論この過程の中でアンチが生まれたりなどの現象も当然ありますが、それはまた別の話、ということで。

というわけで。

今日はお笑いにおけるファンサービスの位置付けについて個人的な見解を書いてみました。勿論いろんな意見があるとは思いますのであくまで個人的な見解という事でご理解頂きたく。タイタンの学校の受講生の皆様の何らかの参考になれば。


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