見出し画像

タイタンの学校6期が終わったので自分なりに総括しておく。

2023年春よりスタートしておりましたタイタンの学校6期が無事4月に終了いたしました。今年はコロナ過を抜けたという事もあり受講生の数も非常に多く、そういう意味でもとても盛り上がった期になったという印象です。6期は5期の改革を踏襲して芸人コースへのテコ入れを大きく行っていった期でした。

ということでタイタンの学校に通おうとする人や興味のある人が読んだ…みたいな話を時々伺ったりするので自分へのメモの意味合いとご興味ある方への参考までに今年も書いておきたいと思います。


ビジネス的に軌道に乗ってきた

・受講生が一気に増えた

5期の改革によっての恩恵か、それともコロナ過の反動か。恐らく色々な要素の複合的な要因が重なってだと思いますが、6期は受講生の数が激増した期でした。前エントリでも書きましたがM1におけるウエストランド優勝や春とヒコーキの躍進によるところも大きかったように思えます。

図1:タイタンの学校の受講生数の変遷

図の通りコロナ過の運用だった3~5期と比較して6期では受講生の数は倍以上になりました。正直な話、受講生募集については2期から相当な苦戦を強いられてきた思いがあり、ここまで一気に戻ってくることは嬉しい意味での想定外でした。もしかするとこれは一過性のものかもしれないという危惧もありましたが、7期の募集は6期以上に好調で一般コース22名、芸人コース44名の66名の入学が内定しており、過去最高人数での運営がほぼ確定。例年は新年度の4月に入って以降の募集も「最終募集」として行っていた(しかも4月以降の応募は結構多い)のですが、そこまでにこれだけの応募者が殺到してしまった為、3月末までの募集で打ち切ったという状態でした。

・芸人、一般の各コースの人数割合を少し変えた

2024年度7期生については3月までの募集で一定以上の成果が出たという事も一つターニングポイントではありました。一般コースの人数が定員まで達していませんでしたが、恐らく、例年通り4月の募集を行えば定員である30名は集まったんじゃないかなと推測します。しかしながら、この段階で定員を大きく超える芸人コースの志望者がいた事から、ビジネス的な見地で考えると芸人コースが多めの構成の方がいいんじゃないかと考え芸人コースを多めに採る施策を取りました。芸人コースの方が学費が高いですから当然こちらを多くとった方が収入は潤う訳で。そもそも30名ずつっていうのも何かの根拠があったかと言われると適切な回答を持ち合わせておらず、じゃあ今期ちょうどいいから芸人40、一般20の構成で行こう、としたわけです。

ただ、一方で懸念点として一般コースとのバランスが果たしてこれでとれるのか?という部分は俄然懐疑的ではあります。後述もしますが、タイタンの学校の魅力は一般コースと芸人コースの絶妙なバランスにもあったりするので、ここのチューニングを間違えるとおかしなことになってくる可能性もあります。売り上げが上がることももちろん最上位レイヤーの課題ではありますが、一方で受講生の通学満足度も同レイヤーの課題であると捉えています。タイタンの学校のコンセプトの基幹にも影響する話なのであまり簡単に売り上げ上がってよかったね!だけで終わらせていい課題ではないです。利益を取った分、今年はそこには注視して果たして器が耐えうるのかというのをチェックしていきたいですし、何なら耐えさせていくという方向でアクティブに考え、行動をしていかなければならないなと感じています。

受講希望者はなぜ増えた?(一般コース編)

・一般コースは作家を目指さない!

一般コースの受講生が増えた要因は僕は明らかだと思っていて。2点くらい大きな理由はあるんですが。一つは「プロ志望者向け」を捨てたことが大きな要因だったんじゃないかなと思っています。

タイタンの学校立ち上げ当初(~3期くらいまで)は「作家になりたい」とか「業界に就業したい」というプロになりたいという想いを持って来られる方が多いんじゃないかと想定したり、他社研究の中でやはり「作家コース」というものが多く存在してたりするのでそれを模倣して、どうしても「プロになる人に向けた・・・」という考えを捨てきれませんでした。結果、一般コースは「プロになる方に向けた・・・」という講義をどう作っていくかということを軸に考えたりもしていたのですが。5期でその方針から大きく舵を切り、プロを目指していくという考えの一切を僕は捨てました。(正確に言うと本当にちょっとだけは残してはいるんですが、分かりやすくするためにここでは一切を捨てたと表現します。)

講義構成の考え方の変化

ではどうしたかということなんですが。これまでは講義構成を考えるにあたり、芸人コースと総合講義(芸人、一般両コースが同時に受ける講義)は別物として考えていたのですが、5期以降は基本芸人育成に必要な講義を構成し、ネタ見せ以外の講義を総合講義に割り振るといった考え方に立つようにしました。そうする事でちょっとお笑いみたいなことをやってみたいけど中々自分の生活の中に取り入れられない、とか楽しいことをやってみたいけど何をしたらいいかわからない、というような方に刺さる様になったんじゃないかなと思っています。

・タイタンの学校のオリジンを見つけていく

ここに気づけたことで他社にはない魅力みたいなものがようやく出てきたように思います。「プロを目指すわけではないけどお笑いや表現をやってみたい」というような方に向けた基礎講座的なモノ。「作家を目指す」とかは他のスクールの方がいいんですよね。就業実績もないし。それよりはもっとタイタンで出来る事っていうのを実現することが大事だったんだなみたいなことを思います。

これに気づけたのは2021年に企画したカルチャーコースという半期制のコースの経験からでした。「一般コースに通ってみたいけど1年間は長い」という声が大きかったことから作ったコースだったんですが、このコースを企画・運営してみて感じたことは。

①1年くらいは一緒にやらないと構築できない関係値がある
②目立ちたがりの一般人がたくさんいる

大きく分けてこの2点でした。

得るものが多かったカルチャーコース(現在は廃止)

僕も全然気づけなかったんですけど、コントとか漫才を人前でやってみたりすることが魅力だという方が少なくないんだな、という事に気づけた(もしかしたら盛大な勘違いなのかもしれないのですが)事が大きかったように思います。それを通じてコミュニティを形成しその中から新しい自分の価値観を構築していく、というような一連の流れを見ることが出来た時、僕の中でこれを一般コースにしよう、という考えが生まれました。結果カルチャーコースは廃止となりましたが、新しい一般コースを生み出すための試金石となり、これはタイタンの学校にとってとてもいい経験となったと思います。

・分かり辛いが故に必要な広報活動

もちろんそれが良かった人とそうでなかった人がいる事も理解しています。それはタイタンの学校がやっていることタイタンの学校に望まれている事のアンマッチがまだあるという事に他なりません。つまり世の中に「タイタンの学校とは何なのか?」が届いていないという事だと思います。我々が我々の存在をどう世にアプローチしていくか、発信方法の創意工夫とこれを続けていく事でこのアンマッチは減っていくものと思っています。また、アンマッチだった人も1年間学校に通った結果、得られた謎の満足感がある方が多いんじゃないかなと個人的には思っています。その謎の満足感についても少し書きたいと思います。

・人間力をつける事、楽しさや面白さを発見し伝えること

放送作家の高橋洋二先生が講義の中で多用する言葉で「人(にん)」というものがあります。初出はどこか正確にはわからないのですが、M1グランプリでサンドウィッチマン富澤さんが漫才を評する際に使っていたという話を洋二先生が話していたような覚えがあるので多分そうなんだと思います。

この「人」という言葉は「人柄」やその人を構成する様々な要素、人そのものみたいなことを表現する言葉で、芸人において漫才やコントをする上でその芸人の「人」がそのネタに乗ってくると破壊力が増すみたいなことから「人」の要素の重要性を問うたりすることがあるわけです。

高橋洋二先生(阪神ファン)

で、これって別に芸人に留まった話じゃなくて実はどんな方にも割と適応される話じゃないかなと思うんです。例えばよくある話で同じ内容を話していてもAさんとBさんが話した時にAさんは話を聞いてもらえるけど、Bさんは全く受け入れてもらえなかったりみたいなこと。世の中では「何を話すか?」ではなく「誰が話すか?」が重要視されることって多いです。これって多分「人」みたいな事だと思うんです。だからコミュニケーションにおいて必要な事ってテクニックももちろんあると思うんですが、それ以上に「自分がどんな人間で周りからどう見られているか?」ということを把握していかないとコミュニケーションって上手くいかなかったりします。

つまりネタを作る力とは別に「人」を作っていく・見つけていく作業みたいなことを芸人コースの受講生に対しアプローチしていくわけですが、これが実は一般コースの皆さんにも実に刺さっている事で、僕の中では「大人のモラトリアム」と呼んでいるのですが、様々なことに挑戦することで自分を改めて理解していく事や、他人を知っていく事というのが何らかの人間的成長に繋がっていて、それが満足感に繋がっているんじゃないかなと思っています。

・ 「お笑い」でくくる”いい感じ”の緩さ

この「大人のモラトリアム」をするのに”実践的な学校”だと中々難しいと思うんですよね。まず目標が出来ちゃう。例えば資格試験に合格する、とか技能を習得する、とか。それだけで何か急に背筋にキュッと力が入ってしまいそうです。それに一緒に通ってる人たちとも何らかの利害関係が発生しがちです。相手の立場とか地位、その他色んなことに影響が出ちゃいがちです。

街の弁護士も著名な作家も同じ立場で学ぶ不思議な空間
(枡野さんのXから写真をお借りしました)

これを「お笑い」でくくるととたんにどんな人も平等に近づくんですよね。お笑いに優劣ってあんまりないんですよ。もちろんあの人のネタは面白いね、とかそういうわかりやすい優劣というのは出来がちなんですけど。でも「あの人あんなことするんだ!」とか「あの人もこんな風に出来るんだ!」みたいな驚きや感動がそこらかしこにあって、なら私もやってみよう!みたいな不思議な上昇志向みたいなものが出てくるんですよね。そして出来なかったとてなんもない。ノーリスク。

タイタンの学校の基本スタンスとして「そもそも一人一人人間が違うんだから面白くないなんてことはない」というスタンスがありまして。その「違うこと」や逆に「同じこと(似ている事)」を感じたり、その伝え方を考えたり。自分が把握できてなかった自分の魅力に気付いたり。そういうことが出来る環境って実は案外少なくて凄く面白い環境なんだなみたいなことを我ながら思ったりします。

・チーターが必要

また、その環境の構成に必要な要素に一般コースに潜む「チーター」の存在があると僕は定義付けています。チーターとはゲームなどでチート(いかさま)を使う人のことを指すネットスラングの「チーター」から来ている僕の中の造語です。それは一般コースと言いながら全然一般人じゃない奇人・変人・偉人の方々の事を指します。いやいや、あなたのキャラクター(経歴とか諸々含め)は明らかに一般コースのそれじゃないでしょう!みたいな。明らかなチート行為です。タイタンの学校の一般コースには毎年チーターが一部存在します。

で、彼ら彼女らは恐ろしいことに芸人コースに一泡吹かせてやろうくらいのことを心の奥底で睨んでいます。まだ芸人を目指す玉子のような存在の芸人コースの受講生をまるで獲物かのように狙う野生のチーターでもあるわけです。このチーターたちがお笑い(や、それに付随した講義)というステージで血気果敢に芸人コースの受講生の群れに襲い掛かるわけです。本当に恐ろしいですし、何が目的なのかもはや僕には意味が分かりません。芸人になったらいいのに!

そして、このチーターたちの蛮行が羊のような可愛い一般コースの方々の野生を徐々に目覚めさせ、また芸人コースも一般コースが混ざることによって変な競争意識から脱却したいい意味での向上心が生まれ、凄く良い塩梅になっていると思います。野生のチーターが何匹(何人)か紛れ込むことによって刺激的な環境づくりにうまい作用が起きていると思います。

・単純に費用対効果の側面でチューニングがあった

これは5期の総括のところでも書いたのですが、一般コースの方の受講生が増えたのは値段と内容と負荷のバランスのチューニングがようやくとれたという所も大きいと思います。

6期も5期と同様のプラン

実はコマ単価は徐々に上げてるのですが、1コマ当たりの値段が高いか安いかよりは週にどれくらいの負荷が掛かるかというのと総額でいくら掛かるかというのが大事だということが受講数増がここ2年続いたことでハッキリとわかったような気がします。年間80コマ、20万前後というのが世の中とのチューニングが合っている状態なのかなと感じています。ただ、ここについてはまだまだ議論が必要で我々の会議の中でも色々な意見が出るところではあります。何せまだ赤字が・・・ゲホンゲホン。

受講希望者はなぜ増えた?(芸人コース編)

・タイタン作戦会議からのスカウト

芸人コースの人数が5期が16名だったところから、6期では一気に35名まで増えました。これはいくつかの要因があるのですが、一番分かりやすいのは「タイタン作戦会議」というフリーの芸人さんが参加できるライブを事務局にて運営してるのですが、そこからのスカウト活動をしているというのがあります。4期は「しびれグラムサム」、5期は「ひらおか族」というコンビをそれぞれスカウトし、学校に入学頂きそのまま所属となりました。
(※所属を約束して入学したわけではありません。所属出来たり、その後の活躍に繋がったりしているのは彼らの努力と実力です。念のため。)

経験者に学校に入ってもらう事でもたらされるいい効果がいくつかあります。一番わかりやすいのはネタ見せのレベルが上がること。やはり同期に最低限完成されたレベルの人がいる事である種のフラグシップ的な役割を果たすということです。

タイタンの学校の2期に「春とヒコーキ」という今や売れっ子に片足突っ込んでるコンビが在籍していました。当時を思い出すとやはり彼らがネタ見せにいるのといないのとで大きく雰囲気が違ったり、また同期に彼らがいる事でネタの事を相談したりしやすかったりしたんですね。もちろんこれは「春とヒコーキ」の二人の人柄によるものもあったと思うんですが。当時僕は「ああ、こういうリーダー的な存在っていうのは必要なんだな」と感じたわけです。

春とヒコーキに教えられたことは多かった
(あまり学校には来てなかったが、ネタ見せだけはちゃんと来てた)

そんな経験から4期以降たまたまコロナ過だったこともあって受講生の数が少なかったことからも誘致に向かって動くいいきっかけとなり、4期では「しびれグラムサム」、5期では「ひらおか族」にタイタンの学校に入ってもらい存分に活躍していただきました。彼らに入学頂いたことはプラスが大きかったなと思っています。

で、6期ではこの作戦会議からの入学者の数が一気に増えて・・・。

・レーズンダイナマイト
(彼らは先に所属までさせたがそれはまた別の話なので今回は割愛)
・ミカミ
・ザ・ダッチライフ
・ジンイチロウ・クボ
・お玉子
・藤元達弥

データ:作戦会議から6期生に入学したメンバー

と6組10名に入学して頂くことになりました。本当は2~3組程度の予定だったんですが、あれよあれよと結局これだけの人数に入って頂く事になりまして。芸人コースの通常の入学者数も5期と比べて一気に回復し、25名の方が入学してくれたので、合わせて35名。かなりの大所帯になり嬉しい悲鳴となりました。

・バランスのとり方を慎重に考えながら動いた1年

さて、実はこの作戦会議からの入学者が大幅に増えたことがいい効果になるかどうかは6期開始当初より様々な角度で懸念をしておりました。一番は経験者が増えることで初めましての人、つまり通常のルートで入学してきた芸人コース生が変に気負ってしまわないか、もう少しダイレクトに書くとやる気をなくしてしまわないか、というところです。どうしても35名中10名が作戦会議組という事もあり、ほぼ1/3がそこからのメンバーなわけです。1組だけそういうのがいるとかならまああれですけど、こんだけいると正直ちょっと嫌ですよね。僕だったら本当に嫌です。で、どうしようかなみたいな事を考えてたわけです。

話は変わりまして、ここ2年の方針として動画コンテンツの拡充をどうにかやりたいという想いが強くありました。そこについては5期の時は舞草さんという事務局スタッフに一任していたのですが、単純にコンテンツ数を増やしたいという点やこんな方向でやっていきたいという指針みたいな物が必要だという事を感じ、6期ではへたくそながらも自分でも動画を制作することに着手することにしました。

正直、単純に編集作業に掛かる時間は大きいですし、動画は動画だけでかなり頭を使います。何より自分で企画している学校の動画を自分で撮って、自分で披露していくみたいなところにまだ違和感があるのですが、まあ初期段階で専門のチームを作って・・・という所まではいかないのは当たり前と言えば当たり前なので余力を捻りだし、自分でも手を動かしていく事にしました。僕は全体を見る立ち位置だと思っているので本当は監修の立場に立ちたいのが本音ではあります。

で、話を戻します。今期、作戦会議から来てるメンバーに学校全体のピントが合い過ぎないように動画の方でもピントの調整をしていこうというようなことを考えました。どうしてもネタのレベルで言うと経験値のある(しかもスカウトしているわけですからこちらも一定の実力を認めているわけで)メンバーの方が初期値としては断然上なわけです。ほっといたらそっちにピントが合ってきてしまうので、動画でちょっとでもピントをずらせるようにみたいなことを考えました。

で、僕が6期で初めてタイタンの学校で作った動画がこちらです。

編集の仕方も初々しいし、映像もなんかまだ変に力が入ってる感じがして恥ずかしいですね。

この動画に出演してもらっている「ロビィ」というコンビですが、なんか二人ともいい感じに地味だったんですよね(斎藤ごめん!岡田はまあいいや!)。とにかく地味な奴を動画に出演させようって思っていて、でもこの二人は変に暗くなくて本当に程よくいい感じの地味さで僕のターゲットとして最適でした。

そして何より良かったのは二人とも好青年であったこと。急に僕が動画を撮り始めても協力的にコメントしてくれて、しかも変に気負うことなく自分の言葉で話してくれて、必然的に彼らの魅力が滲み出る動画になって僕も凄く助かりました。

と、こんな動画を作ったりしながら。動画の題材にタイタンの学校で初めて組んだりした人を選ぶことで少しずつ経験者からピントをずらしつつ、僕自身が未経験者を中心に動画を作っていく事で僕のピントも必ずしも経験者に向いているわけではないことを表現しながらバランスを取る為に試行錯誤しました。

・バランスが取れたかは置いといて動画は一定の成果が出た

結果としてバランスが取れたかどうかは受講生のみぞ知るところなのでその結果についてはおいといて。動画については一定の成果が出たと認識しています。タイタンの学校Youtubeチャンネルは2020年から始めているんですが、2020年~2022年の3年間での結果と2023年の単年での結果の比較が下記の通りです。

タイタンの学校Youtubeのアナリティクスの一部

視聴回数、総再生時間共にこれまでの3年間分を超える結果を1年で出すことが出来、チャンネル登録者数も倍までは届きませんでしたが、倍近い視聴者の皆様にチャンネル登録頂けました。コンテンツ数も2020~2022の3年間でほぼ100動画、2023年もほぼ100動画と3年分の本数を1年で一気に作ることが出来ました。これは「タイタンの学校」の受講生増に大きく貢献したんじゃないかなと感じています。「芸人養成所」って何やってるかわからないと思うんですよ。ちょっとでも何をやっているかをアウトプット出来たことで7期以降の受講検討者への判断材料となったのではないかなと思っています。

この結果を出すことが出来たのは動画をメインで担当してくださっている舞草さんは勿論の事、ライブ動画を担当してくれたタイタン所属の芸人でもあり、5期修了生でもある「アキタカ。」が毎週のように動画を上げてくれたことが結構大きかったなと思います。ああ、そうそう。そういう意味では6期はライブの本数もさらに増やした年でした。

・ライブを更に増やした

ライブの改革もここ2年でかなり大きく行っています。現役の芸人さんも作家さんもマネージャーさんも、芸人が成長するための最大の要素として「ライブに出演すること」を最上位に置くことが多いのにも関わらず、ライブの開催数がそんなに多くない事に矛盾を感じ、ライブの本数を月1回から月2回に単純に倍にするという”脳筋的な発想”の改革を5期では行いました。

でもそれは5期の芸人コースのメンバーが少なかったから出来た事という部分もあって、6期は普通に30名オーバーの受講生がいて、これをどうするか?というのが6期開講前の最大のトピックの一つでした。

5期である一定の成果があったと考える「道場ライブ」の形式を変更してとにかく出演者数を増やすライブの形式に変えるのか。それともライブ形式は維持しながらオーディションみたいなことを行い出演者数を絞って開催していくのか、それともその他の方法か。

ここも大分時間を掛けて議論し、また様々考えたのですが、原点に立ち戻り「ライブが多いのは良い事」というここに立ち戻り、月2回を月4回(週に1回)へと単純に開催数を倍にするという”能筋的な発想”の改革を6期でも行いました。

これに伴いなんですが。ネタ見せも出演組数が増えるわけですから、ネタ見せ本数も増えるわけで。ネタ見せの講義もどうするのかめちゃくちゃ悩んだんですが、これまで講師1名体制でやっていたところを、講師2名体制にて場所も別スタジオを借りて2クラス制にて実施を行う事を決断しました。

2か所に分かれ2クラス制にてネタ見せ講義を行った

これはマジでコスト(これは金銭的コスト、人的労力コスト)だけが掛かってくる話なので単年の収支だけで考えると経営的に何もいいことはないです。ただ、ネタ見せの密度や経験値の蓄積を考えたら、そこにコストを掛けることは必要で、タイタンの学校における「利益」を何として捉えるかと考えたときに「金銭」というのは勿論あるんですが、育成機関という立ち位置を鑑みると「人材」ということにプライオリティがあると判断しました。

ほんと、費用も手間も単純に倍になりました。本来、こんな解決方法許されません。解決方法として乱暴すぎます。でもこれが最善策だと思い、受講生が増えた勢いに乗ってこの案をうまく通しました。結論としてはそれはそれでよかったんじゃないかなと思っています。稼働も増えて疲れたけども。

・ 「道場ライブ」の是非

また、5期から「道場ライブ」というタイタンの学校独自のライブ形式を導入しています。6期を迎えるにあたりこのライブ形式の是非についての議論もかなり多くの人と酌み交わしました。

「道場ライブ」は世に一般的にあるお笑いライブの形式と大きく異なるので「その違和感を受け入れ辛い」ことや、演者(受講生)の平場(いわゆるトーク)のシーンが多く、地力がまだついていない受講生の甘さが目立ちがちになります。そしてそのレベルの粗さを楽しむ為に作家や先輩芸人に入って貰ってそこをツッコんでいくことでエンターテイメントとして成立させているライブです。

このライブは本当に賛否両論頂いていて、どうしていくべきか6期に入る前から、また6期期間中も本当に悩みました。多分ネタだけをやって最後に平場を少しやって終わりの所謂一般的なライブをやれば違和感は少なくなるのは間違いないです。

ただ、5期の総括のエントリーでも書きましたが、見習いレベルの芸人のネタを並べられてもお客さんが楽しめるわけがないんです。お客さんが楽しくない前提のライブは僕は変だなと思うし、それが常態化しているのだとすれば、それは変えなければならないことだと考えています。

それでもやはり結局見習いレベルの芸人さんを使って成立させなければならないので、ライブの形式を変えたとてどうしても粗がでます。そうすると変えた事への違和感がその粗と同一に見えたりして、余計に「新しいことを拒む考え」というのが前に来ることがあったりもします。

本当に悩んで悩んで困り果てていた課題でした。

でも6期を一年間通してやったことでこれについては結論が出ました。「道場ライブ」の仕組みは現状では最適解である、と。

僕も運営の経験を重ねていく中で何となくわかってきたことなのですが、仕組みを作ってもその中で上手く動くことが出来るかどうかはまた別だということです。今まで仕組みだけ作ればOKだと思っていたんですが、その仕組みの中でどう動くのが最適かを教えるという作業を怠っていました。

7期は「道場ライブ」をより強いライブにするべく、「道場ライブ」の為の講義を行ったり、またリハーサルの取り組み方に変化をつけたりすることでより良いものにしていければと考えています。

・ムラムラタムラさんのキャスティングについて

そして6期「道場ライブ」ではムラムラタムラさんとしびれグラムサムにMCを依頼させて頂きました。しびれグラムサムについてはタイタンの学校の修了生にMCをお願いしていきたいなという単純な考え方。これは割と分かりやすかったと思うんですが、ムラムラタムラさんの起用については皆さん最後まで「?」がついた事と思います。

でも僕の中のMC選択としてめちゃくちゃ最適解だったんです。MC候補を探す中で考えていたのは「ちょっとでもメディアに出てる人に受講生を絡ませたい」という事と「MCに就任することでの話題性」の2点でした。

まさかのMC就任「ムラムラタムラ」さん

この2点を考えたときに、最適解として浮かび上がってきたのがムラムラタムラさん。メディアにも普通に出演していて、しかも話題性は抜群の人。また、こういう言い方は失礼かもですが、養成所のライブのMCをお願いしたときにギリ請けてくれそうな人。

何日か悩んだのですが、何の伝手もないし考えてても仕方ないので、もう当たって砕けようということでタムラさんのお仕事問い合わせアドレスに正面からぶち込みを掛けたところ・・・奇跡の快諾、という出来事でした。

嬉しい計算外だったのはこのムラムラタムラさんが本当にイイ人で「道場ライブ」というよりは、むしろ「養成所」という事に真摯に向き合ってくれたことでした。

僕はメディアやライブでのムラムラタムラさんしか知らなかったので当然ライブをかき回してくれることを期待していたのですが、それに応えてくれただけじゃなく、養成所生の熱い兄貴分として一人一人のネタと向き合い、どうしたらよくなるかという事に真剣に向かい合ってくれました。

道場ライブAチーム

フリーの芸人さんがそこまでやる必要はないじゃないですか?養成所生が色々質問しても嫌な顔一つせず真剣に受け答えしてくれるその姿勢。まさかムラムラタムラさんがここまで熱くやってくれるとは思っておらず本当に感謝しても感謝しきれないほどのご恩を頂きました。改めてムラムラタムラさんには心より御礼申し上げます。7期も続投して頂く予定です。

・6期では躍進したライブ集客数

5期で課題としていたライブでの集客数ですが、6期では大きく飛躍することが出来ました。今期は2チームに分かれてのライブ運営となったのですが、そのチケット実販数は以下の通りとなりました。


第6期芸人コース道場ライブ集客一覧

5期では平均集客数が1開催あたり9.1人程度でしたので、倍増したといっても過言ではないくらいの集客数となりました。また6期では修了公演「Dragonfly」と「TCCGP」という2回大型ライブを企画したのですが。

・TCCGP チケット実販数157枚
・Dragonfly チケット実販数184枚(5期実績 66枚)

データ:6期ライブチケット実販数

と、こちらも大変多くのお客様にご来場頂く事が出来ました。TCCGPにおいてはこれまでやってなかったライブで、しかもタイタンの学校としては初会場、客席が1階だけで300名もある四谷区民ホールを借りて行うという僕的にはかなりの冒険をしたのですが、6期のメンバーが期待に応えてくれて盛会として終わることが出来ました。5期に課題として挙げていた「集客に対する意識」という点は飛躍的に向上し、結果彼ら6期生の実力の証明にも繋がったんじゃないかなと思います。

・TCCGPという新企画

TCCGPは漫才、漫談限定という事で年末の大型ライブとして企画しました。前述の通り、これまで修了公演以外でキャパ200以上のクラスの会場を借りてライブを開催したことはありません。また四谷区民ホールというホールもタイタンの学校としては初会場。果たして本当に成功させることが出来るのかどうか。あまり表には出してませんでしたが(出てたかな?)結構なプレッシャーでした。

メインキャラクターを160氏に担当頂きました。

これまでやってなかったこと尽くしの企画を推進した訳ですから失敗したら今後のプロジェクト進行に結構な影響が出たと思います。博打的なところもありましたが、成功させれば6期生の子たちの大きなアピールになることは間違いないのでリスクを取らずして・・・という思いでした。

結果、チケット実販157枚、関係者招待入れて200名近いお客様にお越し頂けたのは本当に安堵の気持ちでした。

この勝利は6期生のメンバーが「ネタを面白くしよう」という点だけじゃなく、「お客さんをたくさん入れてライブを盛り上げよう」という意識を持って一緒に戦ってくれたからに他ありません。「やって当然」はそれはそうなんですが、その中でも意識を高く持って取り組んでくれた組もいて、そういう子たちは「ああこの子たちは違うな」と思わされたものです。

この意識はプロとして活動する上で1番最初に必要なメンタルだと思っています。こういうことがプロデューサーやディレクター、ライブ企画者などに共感され、出番が増えていくのだと思います。僕も僕なりに借りた恩を少しずつでも返していけたらなと感じています。

BOOMERさんにMCにお越し頂けたのも大きかったんじゃないかなと思います。今後6期生の子たちが所属して、タイタンライブ(タイタンシネマライブ)に出演した時に、恐らくBOOMERさんは結構高い確率で出演されているでしょうから、共演経験があるというだけでもかなり大きなポイントになると思います。また、そのタイタンライブでBOOMERさんがこの「TCCGP」の告知をしてくれたことも大きかったと思います。爆笑問題さんやタイタンのタレント、そしてタイタンファンの皆さまにも、タイタンの学校の受講生が頑張っている事を少しでもお伝えすることが出来たんじゃないかなと感じています。

・やっぱり売れるやつは面白いし、売るやつは面白くなる?!

そんな経験を経て、一つの仮の結論が僕の中で出ています。「それは面白い奴は売れる(ようになる)し、売れる奴は面白い(くなる)」という事です。TCCGPにおいてもDragonflyにおいてもチケットを手売りで売れている組はネタもどんどん良くなっているし、ライブ等でも結果を出している傾向にあるように思います。

「面白い」とは何なのか?という哲学的な問いに対して当然答えのバリエーションは無数にあると思うのですが、「面白い」かどうかを判断するのはプロである以上お客さんなんですよね。つまり「より多くのお客さんに観てもらって、その人たちの反応を見て、よりネタを改善していって」のサイクルをいかに廻していくかというのが実力向上の近道です。お客さんを沢山入れて、極力大衆化させた顧客の反応を見る機会を得られることは非常に大事だなと思います。

あと、単純にチケット売れる人は愛されてる。タレントとして売れる為に必要なことは「愛される事」と作家さんもマネージャーさんも強く言う。それは僕もそうだと思う。タレントは多くの人に愛される仕事である事をいち早く意識して、応援してくれる人を増やす、そしてそれに応えていく。それが出来るやつは結果面白くなっていくし、売れていくようになっていくと思います。つまり色んな人とのコミュニケーションが大事だということ。

タイタンの学校はコミュニケーションカレッジである。つまりはそういう事なのかもしれない。

総論

・学校という事、養成所という事

6期で一番悩まされたことが「学校」という事。

タイタンの学校は仲が良い。他の養成所がどうかはわからないけれども、受講生同士の関係値はかなり良好に思える。それが故に「学校」として「楽しく過ごしたい」みたいなテーマが時折出てくることがある。それは講師からも出てくる事があるし、事務局内からも出てくる事もある。僕はそこに対して少し曖昧な態度を取っていた部分があった。勿論、僕は「プロになる為に・・・」というスタンスでタイタンの学校に挑んでいる。片一方で受講生に対して甘さみたいなものを見せていた部分もあったように思える。それが曖昧さに繋がっていたと思う。

学校なんだからもっとみんなが楽しく出来るように自由度を上げるべきみたいな意見。それはそれで正しい。受講生にある種やりたいことをやらせながら、楽しく芸人体験サービス的なものを提供するという考え方は理解できる。ビジネスとして主述はあってる。成立するかは別として。

ただ、受講生も僕らも「プロになる為」に安くないお金を支払ってタイタンの学校に通っているのだと思っているし、最初にその意思確認は全員にしている。つまり僕らは彼らを「プロにする為」のプロセスを踏まなければならない。「プロにする」という概念が曖昧であるとするならば、もう少し解像度の高い目標設定としては「全員をタイタンに所属させる事」が僕の目標である。「全員」である。「気に入った奴」だけではない。「前を向いている」「やる気がある」人は「全員」

その為にはタイタンで通用するための行動規範を身につけなければならないし、タイタン社内の人たちに所属するに足りる理由を用意する必要がある。それを皆に用意するのが僕らの仕事。でもそこに対して僕は「立場」も「態度」も曖昧な所があって、それがわかり辛くさせていたところに修正ポイントがあると考えました。

なので7期は曖昧にすることを止めることにしました。

・ステータスのチューニングをする。

7期、学校の現場の決定権者は僕である事を明確にしました。勿論根幹を決めるような大きな決め事や大きなお金が動く事は理事長である太田光代氏に決裁を取ることになるのですが、現場レベルでの運営は名実ともに僕が担うことになります。

これまでタイタンのプロジェクトに対し外部の僕が決定権を握ることに若干の違和感を感じていて、それが故に曖昧にしてきたのですが、外から見ると余計にわかり辛いようなので僕が現場における決定権を持つ立場に立つことにしました。

今までもやってることだから僕の動き自体は大して変わらないけれども、より影響力が強くなる事は間違いないのでより慎重に進めつつ、受講生を目標に沿って導いていけるように出来ればなと考えています。また、あまり気負い過ぎず力を抜いてそれをやっていけるようにというのも心がけたいなと思っています。

・今が常に過去最高

毎年「過去最高の期にする」というテーマを掲げて僕はこの仕事に挑んでいます。時折修了生から「うちらの時はこんなのなかった」みたいな話が出てくることがあるのですが、その反応は個人的にはとても嬉しい。学校も僕も変化している事、そしてその変化の先にある「成長している」ということが実感できるから。今後も良いものは残しつつ、新しいものをどんどん取り入れていきたいと思っています。

そして7期生メンバーと過去最高の結果を残せるように最大限パフォーマンスを発揮できるように頑張りたいなと思いますし、7期生も過去最高の結果を残さないとその時点で既に所属しているメンバーより下と見られてしまう可能性があるので頑張って欲しいなと思っています。

そして一般コースも芸人コースの上昇志向に乗って自分を表現していく中で新しい自分、今までの自分と出会える環境になるよう邁進していきたいと思っております。

・最後まで読んでくれた方にお詫びと御礼

ということでつらつらと2か月くらい掛けてちょっとずつ15,000字にも渡る駄文を書き連ねました。あまりにも長い文章を久しぶりに書いたので読みづらい所や誤字脱字等もあったと思います。お読み頂きました皆様に感謝と共に私の未熟さをここにお詫びいたします。

改めてここまで読んで頂きました物好きな皆様に。
心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

2024年6月7日 第1稿アップ
2024年6月9日 1部追記修正
はやし

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?