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任意団体 1年間の仕事

私は、以前、税務署の主催する納税団体の会議の後の懇親会で、
いろいろな任意団体の役員と話す機会がありました。

参加した団体は、
地域の有力な企業の集まりである、法人会、
地区の地場産業で、同業種の組合・協会、
商店街を中心とした組合・協会、
司法書士会等、士業の団体の地区の支部、
などです。

話の内容は、役員の高齢化、会員の減少、研修会の参加人数の減少等、
多岐に渡りますが、どの団体も同様の悩みを抱えていると感じました。
それと同時に、団体の1年間の仕事は、会員の親睦を図るため、対外的な活動をするため、ほぼ同じような活動をしていると、感じました。

以下、任意団体の一般的な活動内容をまとめ、活動する上でのポイント、
事務長(あるいは、事務方)として、どのように立ち回った方がいいかを、記述していきます。


任意団体の主な仕事

任意団体の事業のうち、
会員の教育訓練のための研修会の開催、
会員同士の親睦を図るための研修旅行を実施、
地域の公共団体、住民を対象にした対外活動などは、
どの団体にとっても共通したものです。

会社組織だと、人事部、総務部、渉外部等があり、
社員の研修、厚生、社員間の連絡・連携等を行っています。
任意団体を会員で組織する「会社」とみなすと、
任意団体は、「社員」である会員に対し、こういった「業務」を
行っていると言えます。

任意団体は、公共団体等が開催する事業へ参加することがあります。
会員の属する業界の代表としての役割も担っています。

以上の事業を行うために、事業計画と予算案を作成し、役員を選出し、
総会にて会員に承認いただき、役員会を開き、事業を行っていきます。

総会について

年に1回の定時総会を開催します。
総会において、会員の現在数と入会・退会の状況、1年間の事業報告、前年度の会計報告、1年間の事業計画、予算計画、役員改選等の議案(案)の決議等を行います。

事務長は、総会を開催をするため、会場の予約、会員への開催報通知書の送付、会員の出欠状況の確認を行います。
当日の役員の役割分担、シナリオの作成等も必要です。

会場のホテルの担当者と、総会会場及び懇親会会場のレイアウト、席の配置を事前に行います。
当日は時間通りに進行しているか把握し、遅れている場合はそれに対処します。

役員会について

役員会は、事業計画に基づいた事業を行うため、1か月に1回は開催され、準備をします。

私は、役員会の議事録(案)を作成することが、事務長の一番の仕事だと考えています。
逆に、役員が負担を感じる仕事は、事前に議事録の案を作成し、会議終了後、議事録を完成する作業です。

議事録(案)を作成することで、この時期に何をしなくてはいけないかを把握できます。
議事録に何を書いたらいいかヒアリングすることで、各事業の担当より、進捗状況を確認できます。
遅れていることがあれば、こちらでフォローすることができます。

役員会が終了したところで、議事録を作成します。
総会時に会員に報告する、事業報告書のひな型を作成し、行われた事業の内容を逐次追加記入しておき、総会に備えます。

事業活動の記録

事務局では、事業を行う際に作成した資料をまとめ、各事業ごと、時系列に整理し、パソコン上に保存しておきます。

資料ばかりでなく、その時の記録を取って、年度毎に保存しておくことをお勧めします。
役員とのやり取り、会員からの助言事項、うまくいかなかったことを、
箇条書きで結構ですので、日記のように残しておきます。
1年経過し、事業に着手する際に読み直すと、本当に役に立ちます。

役員は任期があり、引継ぎをしなくてはいけません。
会社組織と違い、ちゃんとした引継書を作成しない場合も多いようです。

事務局で保存しておいたデータを、引き継ぐ役員に送付してあげれば、
簡単に引継ぎが終了します。

予算編成について

総会の時に、会員より、前年度の決算報告をして、今年度の予算計画案の決済いただきます。
収入は、会員からの会費収入、本部組織があればそこからの交付金収入、
前年度の繰越金等です。
支出は、行事を行うための事業費、理事会等開催時に発生する会議費、
役員や事務員に支払う人件費、事務所を置くために必要な家賃等の事務費です。

事務長は、日頃、預金通帳、カード、小口現金を預かっており、
支出の管理をすべて任されています。

月次試算表で主要計数をまとめておき、
予算実行状況表で計画対比を把握しておきます。
そういった資料と、その月の伝票と使途確認資料を、
月別にフォルダを作り、保存しておきます。
私は、毎月、経理担当役員に、そのフォルダをメールに添付して、
会計報告をしています。

年2回実施している監査だけでもいいように思いますが、
経理担当役員に、日頃の会計状況を知っていただくことは大切です。
新聞紙上で、よく任意団体等の不正経理問題が報道されています。
間違いのない仕事をしていることを、常に発信することは、大切なことです。

また、長期的な収支・支出状況を一覧にして、今後の会費の適正水準を検討する資料として蓄積しておいたほうがいいです。

予算管理については、別途記事を作成する予定です。

会員間の親睦について

会員の集まりである任意団体として、会員間の親睦を図るために、
新年会、研修会の後の情報交換会、研修旅行などを行っていくことは、
とても大切なことです。
会費をいただいて開催する場合が多いかと思いますが、会員の負担を軽減するため、費用の一部を福利厚生費として支出することもできます。

同業者の集まりである団体が多いかと思いますので、日頃は競争相手ですが、仕事を離れ、人柄に触れ、趣味嗜好を知ることは楽しいことです。
また、自己の事業を発展させるうえで、経験のある同j業者から示唆に富む話を聞くこともあるでしょう。

研修活動について

業務知識の習得方法として、教材で学ぶことが多いですが、
任意団体が研修会を主催して、会員の学習の場を作ることも必要です。
研修の内容に応じて、税理士等の専門家を講師に招くこともありますし、
会員の中より講師を選ぶ場合もあります。

私も何度か研修に参加させていただきました。
講師をお呼びして、事前に配られた資料を読むだけで終了してしまうケースも何度も見かけました。
過去の研修会の講師、講義内容等をまとめ、検証して実のあるものにしていく努力が必要だと痛感します。

講師に、ケーススタディを用意いただいたり、グループ討議をしてもらう時間を作ってただくなど、お願いしてみる。
事前にアンケート調査をして、研修会に対する会員の意見を聞いてみる。
研修終了後に、会員の感想を聞いてい見る。
そういった中から、今後の方向性が出てくるかもしません。
事務長より、いろいろ提案し、よければ具体的に動いてみることです。

対外活動について

地域で活動していると、地域の産業団体、公共団体との交流が増えて、
行事・会議への参加への依頼があります。
行政が組織した団体等があり、役員就任の依頼を受けることもあります。

また、任意団体の仕事を地域の方に理解いただいたり、地域貢献をするために、無料相談会などを企画する場合もあります。

任意団体として、地域と連携と連携していく上で、対外活動にしっかり取り組んでいくことになります。
役員への負担が発生しますので、負担が一人に集中しないように、適正な日当を配分するようにしなくてはいけません。

任意団体の場合は、役員が任期が2年ほどですので、どうしても団体が培ってきた実績、資産が継続できない場合が多いように感じます。
事務長は、代表ではありませんが、事業活動の記録と検証をして、団体が活動の継続性があり発展していくように、サポートしていく重要な任務があります。
目次にあげた項目を、今後記事にしていきます。
よろしくお願いいたします。



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