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カレーを食べるということ、あるいは食事をするということ、思い出について

カレーを食べるという行為に何通りもあるのはなぜだろうか。

私がSNSに上げる写真の大半はカレーである。
だからか、カレーマニアと誤解されることがたまにある。

が、実際のところ、味の違いを理性的に説明できるほどのカレーマニアではない。

むしろ、いわゆるインドやネパール、パキスタン、バングラデシュなどの南アジア料理のレストランにおいては、
カレーよりもその国独特の料理に興味関心が向くことが多い。
ビリヤニ、レモンライス、パロタ、ドーサなどの炭水化物や、
セクワ、スクティなどの肉料理である。

それでも、特に誰かと一緒に行く場合には、カレーを頼むことも多い。

そういうときも、だいたいのカレーに対して「おいしいねえ」と思いながら食している。

カレー屋の類型

そんな私であるが、店によっての雰囲気の違いのようなものを考えるときがある。

ものすごく雑に外食のカレーを大別すると、以下のようになるだろうか。
アジア料理店のカレー、カレー専門店やスタンドのカレー、洋食店のカレー、喫茶店のカレー、バーのカレー、定食屋や居酒屋のカレー、など。

アジア料理店の中でも高級志向か低価格志向か、
そもそもどこの国のカレーを出すのか、
これによって大きく変わってくるところもある。
また、これらが混じり合った店もたくさんあるだろう。
だから雑な大別である。ちゃんと分けられているなどとは思わない。

さておき、私の中ではなんとなく、こういった形で分けられている。
これらの違いは、雰囲気の違いと書いたように、味だけでなく、店の照明や匂いなど様々な要素が絡み合って生まれるものなのだと思う。

カレーを食べるという行為に何通りもあるのはなぜだろうか。
最初に挙げた問である。
ここでは、人とともに食べるのか、一人で食べるのか。
アジア料理店で食べるのか、カレー専門店で食べるのか、家で食べるのか。
そういう違いでもある。

渋谷のDOT 5

かつて渋谷消防署の向かいのNCビルに入っていたDOT 5という店がある。
夜はダイニングバーのようなことをやっている店だが、ランチ営業でカレーを出していた。
たぶん夜も出していたと思うが夜は行かずじまいだった。

ここに一人でふらっと入ったときの感動が忘れられない。
タバコと料理のなんとも言えない匂い。
大きな鶏モモ肉か一枚乗ったカレー(後から聞いたら皮無しでも頼めたらしい)。
昼営業だけど何時までいても怒られなさそうなユルい雰囲気。
そしてなんと言ってもカレーの香りである。
別に珍しいタイプの香りではなかったと思うが、家で食べるカレーやアジア料理店のカレー、流行りのスパイスカレーとは違うものであった。
たぶんルーを焦がすような感じで調理してるんだと思うがよくわからない。自分では作らないので。

ともかく、全てが相まって、仕事の合間にぶらっと立ち寄った店でのカレー体験として、なんとも言えないものがあったのだ。
小学生くらいの頃に憧れた、シブいおっちゃんの一人ランチをついにやってのけた感覚があったのかもしれない。
私の一人ランチカレー体験としては最高のものである。

これと似たような味のカレーを、もしかすると私は小さい頃にディズニーランドで食べたことがあったような気もする。
幼少期の思い出につながるノスタルジーもあったのかもしれない。

そうやって考えると、やはり食の体験とは、味だけでなく、どこで、いつ、誰と食べたのかというのが非常に大きな部分を占めるものなのだなと思う。
ランチカレーとしてベストと称したDOT 5のカレーは一人ランチだったが、これも
「誰と食べたの?」→「一人だったよ(=0人と食べたよ)」
という意味で、誰と食べたという情報を持たないものではない。

人生の食事回数

数年前、プロレスラーの高田延彦が、
「残りの人生で何回食事を取れるか考えて一回一回の食事を大切にしている」
というような話をしていた。

いま私は30歳。
たとえば80歳まで生きると仮定すると、残り50年である。
無限に食費を掛けられるわけでもなく、また節制もしなければならない。
60歳を超えると体調面で食べられなくなるものも出てくるであろうことを考えると、
たまの外食については一期一会、大事に噛み締めていきたいと思う。
一人で食べるものも、誰かと食べるものも。

同級生の店

早稲田大学の近くの洋食店で小学校の同級生が雇われ店長をやっている。
急遽、5月末で閉店となった。
先輩の結婚式の打ち上げなど、色々使わせてもらったが、
ボディビルダーとしての変なプライドで看板商品のオムライスやパスタにあまり手を出してこなかった。
パスタに手を出さないまま、パスタはやらなくなってしまった。

昨日、最後なのでここにカレーを食べに行ったところ、このカレーもまた渋谷のDOT5やディズニーランドを思い出させるカレーであった。
今日、これから最後の挨拶に行くが、ちゃんとした思い出を作ってきたいと思う。

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