女の子の名前と愛されやすさ(初出:週刊アスキー「恋のDJナイト」2014年)

♪やさしい名前をつけたこは 愛されやすいと言うけれど 私を愛してもらうには 百年かけてもまだ早い♪

 というのは中島みゆきのシングル『あの娘』の歌詞である。

♪ゆう子あい子りょう子けい子まち子かずみひろ子まゆみ 似たよな名前はいくらもあるのに 私じゃ駄目ネ♪

 この歌のヒロインは、自分はその名前故に、愛されないのではないかと気にしている。

 この曲が発売されたのは、1983年。この歌の歌詞に出てくる名前は、当時のありふれた名前たちの代表である。実際、当時の女の子の名前ランキングと照らし合わせて確認してみよう。

 明治安田生命保険相互会社が発表しているデータによると、この年の人気の名前1位は「愛」2位「裕子」3位「麻美」である。ちなみにその前年は、1位「裕子」2位「愛」3位「香織」だった。

 「あい子」と「愛」の違いはあれど、歌詞の中身と実際のランキングは、かなり近い内容だ。特に、「ゆう子」は当時人気あった名前の代表格である。

 

それ以前の1970年代に比べると少しは減っているが、「〜子」という名前は、まだまだ多数派で、当時のスタンダードだったということがわかる。

 ちなみに、翌`84年には「裕子」が4位にランクダウンとなり、トップ3位から「〜子」が付く名前が一掃される。そして、`86年になるとトップテンから「〜子」が一切いなくなってしまう。

 上記の中島みゆきの歌は、「〜子」がありふれていた時代から激減する転換点でつくられた歌ということになる。

「〜子」世代の最終世代は、今のアラサー世代くらいである。

 いまどきの愛される名前も知りたいが、そもそも名前と愛されるかどうかに関連が本当に見いだせるのかは謎である。

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