すばる読書日記その1:村上龍、ミシェルウェルベック(初出:『すばる』2013年)

某月某日 村上龍による人生相談本『自由とは、選び取ること』を読む。人生相談というのは、身も蓋もない薄情な人間が応えるほうがおもしろい。ホリエモンとか上野千鶴子とか。

 村上龍もその系譜。冒頭、36歳、時給700円。結婚もできないという相談者に、「誰かに相談し、何かにすがり忠誠を示せば甘えることができる」なんて幻想は捨てろと趣旨を台無しにする回答。いや、さすが。起業して新規事業を立ち上げようとしている人には、「前もって成功して」おけだって。これはまた剛速球。

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