君の目はきらきら
恋人がいた。
三年とちょっとの時間を過ごした。
初めて付き合った人と結婚するなんて幼稚な夢を見ていた私は、今思えば外敵を知らないお姫様だった。
私はダメな人間だった。
自分のことが嫌いで、嫌われるのが怖くて、そのせいか高校では友達がいなかった。
それでも金曜日には、「一人でも楽しいかもしれない」なんて考えていた。
週末に彼の家まで足を運んで、こう言われる。
「だから友達ができないんだよ」と。
ああ、そうか、私がこんな性格でこんな考え方をする人間だから私には友達がいないんだ。だから嫌われるんだ。私の居場所はここにしかないんだ。
気になるタイトルの記事を見つけた。
『あなたは大丈夫?モラハラ男の特徴5選!』
とかだった気がする。
ほんの少しばかりの興味で記事を開くと、そこには人格の否定だったり、無視だったり、自分の意見を押し付ける、等様々なモラルハラスメントによる特徴が挙げられていて、鼻で笑った。
これは私の恋人の話なんじゃないかと思った。
こんな奴を軸に、先の八十年を考えることは難しい。
夢に意思が勝った、初めての出来事だった。
別れを告げた時、今までかなり渋っていたのにも関わらず自宅に来た。それも家にくる連絡が来てから10分後くらいに。
何故か、泣き始めた。
今更何かに気づいたのだろうか。
いや、そんな一瞬で気づけることなんてこの世にはない。ただの喪失感だったんだろうと、今は思う。
君のために流す涙なんかあるわけないのに、根暗に染められた私の頭は何かに縋るように泣くことを命令した。
このまま死ぬんだと思っていた妙な安心感、音楽に勝てなかった彼の泣き面、生ぬるい春の空気。
あの日の涙の味は、塩辛かった。
独りになって、夜がきた。
その日はもう春だというのに空が澄んでいて、月がよく見えた。
ウィンストン・キャスター・ホワイト・5
右手の指の隙間には細長く見慣れない煙草。
思ったより、苦くない。
生ぬるい空気と一緒に吸って、誰にも見えないところでむせた。
何もかもを捨てて、これから何かが始まる予感がして、まだこんな世界に期待している自分に馬鹿馬鹿しくなって、誰にも見えないところで泣いた。
私の目はさぞかし"きらきら"していただろう。
あとがき:
私は人に気を遣うのが苦手になって、嘘が下手くそになって、家族みたいな友達がいっぱいいる。
三年寄り添った気でいる君とは比べ物にならない程、私のことをよく分かっている。
世間一般的にみたらまだまだダメな人間かもしれないけど、私は意外とこんな私が好きだ。
でも今この文章で結構思い出して気分が悪い。
私は一人の人間を愛している間に君は遊び呆けてまだ女の子を放ったらかしてるみたいだけど、なんで振られた側がそうなってんだ。普通逆だろ。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
きらきらはこんな曲ですと解説したかったので、私の経験談をそのまま書き記しました。MVではそらが当時の私を演じてくれています。
吸ってる煙草の銘柄もよくみてみてね。
おやすみ
シブヤカンナ
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