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槍ヶ岳と天狗原、氷河が残したホルンとモレーン

槍ヶ岳は四方を氷河で削られて残った尖峰だ。地形学ではこれをホルンという。東鎌尾根、北鎌尾根、西鎌尾根、そして大喰岳へ伸びる尾根の間にそれぞれ氷河があった。大喰岳へ伸びる尾根と西鎌尾根に挟まれた飛騨沢は、槍ヶ岳山荘がある肩で止まって槍ヶ岳に届いていないように地形図では読めるが、現地に行って弓折岳付近から見ると飛騨沢の斜面が槍ヶ岳まで連続的に続いていることがわかる。

槍ヶ岳から三方に伸びる尾根。東鎌尾根、北鎌尾根、そして西鎌尾根。2023年8月3-5日調査ルートを青で示した。
朝日を浴びた槍ヶ岳(3180m)。北鎌尾根と東鎌尾根、そして大喰岳へ続く尾根が見えている。
するどく天を突く槍ヶ岳。やや高い位置から。背後に三俣蓮華岳と黒部五郎岳。
東鎌尾根と大喰岳
槍の穂先で朝日を見る登山者たち
スイス・イタリア国境にそびえるマッターホルン(4478m)。ホルンの模式地と言ってよい。四面から氷河で削られた。二面の下部にいまの氷河が見えているが、最盛期2万年前は、厚さ2000mに及ぶ氷河がここにあった。
大喰岳から中岳、南岳に伸びる尾根。さらに大キレットを経て穂高岳へ。その先に焼岳、乗鞍岳、御嶽山が並ぶ。尾根の左側は槍沢。
飛騨沢も槍ヶ岳に届いている。弓折岳から。

槍沢の中途にネックレスのように垂れ下がるグリーンバンドは、氷河が残した大きなモレーンである。礫まじりの砂泥からできている。殺生ヒュッテも、より短い(より新しい)別のモレーンの上に建っている。

槍沢のグリーンバンド。左側は厚い岩盤で、右側がモレーン。槍の穂先のすぐ下に殺生ヒュッテの屋根が見える。
グリーンバンド。地上写真
グリーンバンドモレーンを通過する登山道の地表は砂泥でできているから歩きやすい。
モレーンの断面。ツェルマット、スイス。
(短い)モレーンの上に建つ殺生ヒュッテ。右上遠くの東鎌尾根上にヒュッテ大槍。地上写真。

槍沢の南に隣接する天狗原にはモレーン地形がよく残っている。中央に固い岩盤があったから氷河は左右二手に分かれて流れ下った。

朝日を浴びた天狗原。モレーンが二股に分かれている。遠くに北穂高岳、奥穂高岳、乗鞍岳。
天狗原を正面から
天狗原は槍沢の南隣にある。中岳がその境界。
南側モレーンの先端。丸っこい崖錐斜面が富士山の御殿庭とそっくりだ。地上写真。

天狗原のさらに南に右俣カールがある。カール底にモレーンが見える。

屏風岩、前穂高岳、北穂高岳。手前に右俣カール。カール底にモレーン。地上写真。
天狗池に映る槍ヶ岳。地上写真
今回2泊3日で歩いたコースを、2022年10月に蝶ヶ岳から撮った写真に青色で記入した。

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