5月8日(2)ラハール
ラハールはかならずしも噴火で発生するわけではありません。大雨のときに発生しやすい。火砕流が流れ下ると地表面が更新されて無植生になるので、雨が降るたびにラハールが発生します。また、粘土質の火山灰が地表に降り積もると、わずか1センチの厚さでも雨水がしみ込みにくくなるので、ラハールが発生します。
JNN(57秒)
長野県岡谷市で、2006年7月の大雨によって発生した土石流による被害状況です。資料映像で、大きな岩を先頭にして襲ってくる様子がよくわかります。土石流は猛烈な破壊力をもちます。
フィリピンのピナツボ火山1991年6月火砕流が残した厚い堆積物からは、大雨のたびにラハールが発生して下流域に火山灰が移動しました。
雲仙岳1991年熱雲のあとも大雨でラハールが発生して多くの家屋を押し流しました。この記事の扉写真は、2019年3月撮影です。いまこの地域は噴火遺構として整備されています。
この穴は何だと思いますか?アイスランドでは、火山の上を氷河が覆っています。火山が噴火すると氷を融かしてヨークルフロイプという大洪水が発生します。この穴から大量の水が流れ出したのです。青白いところが氷です。灰色のところは氷の表面に火山灰が付着したところです。
(2分27秒)
南米の最高峰アコンカグア。この山は火山でないから、これはラハールと言えませんが、興味深い動画なので紹介します。ハイキングツアーのグループが土石流に遭遇します。沢を横断する客の手を持って助けていたガイドが上流を何度か振り返ったあと、一気に流れてきます。音よりむしろ冷たい風を感じたのではなかろうか。氷河の先端に一時的にできた池が決壊したのでしょう。
(2分28秒)
ブラジルの鉱山ダムの決壊映像です。2019年1月。これも火山とは無関係ですが、紹介します。堤の下部が破れて、すぐに大量の土砂が一気に噴き出します。
(1分19秒)
下流の鉱山施設にその土砂が秒速10メートルほどで襲ってきました。大きな舌ですべてを飲み込んで行きます。右に進んでいた貨車が止まり、しばらくして左に戻り始めます。作業用自動車も逃げまどっています。
アコンカグアの猛烈なスピードとは対照的なゆっくりとした流れです。
→次は(3)土石なだれです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?