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地震隆起と海岸段丘のモデル
地震で海底が隆起するのを繰り返すと海岸に階段状の平坦面ができる。しかしそれは砂浜に限られる。磯浜ではできない。
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上の図は、地震で隆起するときの磯浜と砂浜の違いを模式的に示したものである。地震は同じ時間間隔で繰り返すとする。たとえば2000年間隔をイメージしてください。
磯浜では、地震で波食棚が隆起しても、そのあと長く続く静穏期に波食棚の表面が波で全面に渡って削られて、海が元の崖下まで届く。隆起した波食棚は段丘として残らない。地震が繰り返されるたびに海岸に面した崖が高くなるだけだ。
いっぽう砂浜は、地震で隆起した砂が波で削られてすぐ沖の海底に堆積することによって浜が前進する。そのため波による浸食が内陸の元の位置まで届く前に次の地震が起こる。これを繰り返して、海岸から内陸に向かって上る階段状の地形ができる。
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これは磯浜の事例。自動車道路の外側が1793年2月8日の地震で隆起した波食棚。まだできたばかりだ。山側に広い平坦面がもう一段見える。高さ40メートル。これは10万年くらい前の古い段丘だろう。その間に階段地形はない。1793年に隆起した波食棚は波で浸食されてやがて海中に没する。
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これも磯浜の事例。1703年元禄地震と1923年大正地震で隆起して海上に現れた波食棚。この波食棚もやがて海中に没する。植生に覆われた平坦面の高さは30メートル。およそ10万年前にできた。氷河性海面変化に起因する。
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砂浜の事例。海岸線と平行に4段の平坦面ができている。段差をつくる急崖が樹木によって強調されていて見分けやすい。最も高い平坦面は7000年前にできた。
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磯浜の場合、一回の地震による隆起量が大きくて、さらに発生間隔が短いと次の地震までに波食棚の表面が崖下まで削られないから、階段地形ができる。千倉町千田の事例がそれに当てはまりそうだ。山際の家並みは1703年12月31日の元禄地震で隆起した標高12メートルの段丘の上にある。私事だが私はそこで生まれた。その下には大正関東地震で隆起した標高5メートルの段丘がある。いまは花卉栽培が盛んだ。背後の高塚山は206メートルで、10万年前にできた段丘の可能性があるが、よくわかっていない。
この記事では地震隆起だけを考えた。実際には静穏期にわずかずつ進行する海岸の沈降がこのモデルを修飾する。また、氷河性海面変化もこのモデルに影響を与える。
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