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福徳岡ノ場の噴火、2021年8月

2021年8月13日0557、水深100メートルほどの海底から噴火が始まって、海面上に高さ16キロの噴煙柱が立った。噴煙柱は16キロのまましばらく維持されたが、15時間後の2100ころから息をつくようになり、48時間後におおむね停止した。100平方キロにおよぶ海面に軽石が浮き、53日後に北大東島に漂着した。風に吹かれて西に移動した火山灰雲は、2000キロ離れたフィリピン・ルソン島北部上空に届いた。噴出量は3億トンと見積もる。(2022年2月10日加筆:軽石5000万トン、火砕流5000万トン。合計1億トンに下方修正する。)

13日0557-2100 水蒸気プリニー式噴煙16キロ
15日0600まで噴煙柱断続、徐々にスルツェイ式に移行
15日1247 新島タフリング確認

8月13日

0610 噴火開始。気象衛星ひまわりに噴煙が映る。時間とともに火山灰雲が西へ伸長する。
1500 高さ16キロ、傘の半径40キロ、火山灰雲は西南西に700キロ伸びる。
2300 噴煙が途切れ始める。火山灰雲の長さは1000キロ。


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二股に分かれた噴煙、13日1420

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海上保安庁、13日15時

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近海で操業中だった@yutaka_kosugiさんの画像。13日15時。高空で風上側にも大きく広がった傘がよく見えている。画像の傾きを直した。

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硫黄島から見た噴煙柱。海上自衛隊。

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2021年8月13日9時、父島の高層気象データ。地上から8kmまでは南東風。それより上は東風。14kmでの風速は14m/s(50km/時)。圏界面は16kmにあった。

8月14日

0600 北に330キロ離れた西之島が噴煙を上げ始める。茶色い火山灰雲は北へ。
1200 火山灰雲が西へ2000キロ流れてフィリピン・ルソン島北部に届いた。

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北に260キロ離れた母島から見た噴煙柱、14日7時。植村和彦さん撮影。とても高いのに白いのが特徴。浅海底で噴火しているため、噴出するマグマが海水とダイナミックに接触して大気中に出る火山灰が少ないのだろう。

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気象衛星ひまわりの福徳岡ノ場噴煙画像から白色のピクセル数をカウントした(DAN杉本)。

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火山噴火予知連絡会2021年12月27日資料

8月15日

0700 噴煙は、気象衛星ひまわり画像に映らなくなった。西之島の噴煙もない。

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15日0930のTerra衛星画像(@terumitsubeya)。軽石ラフトが見える。

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海上保安庁、15日12時。スルツェイ式噴火に特徴的なコックステイルジェットが見える。

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新島誕生。気象庁、16日1400発表。

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8月15日のくっきり画像。

8月22日

海洋気象観測船「啓風丸」が、海面を漂流している軽石を採取した。「SiO2含有量61.5–62.8 wt.%,Na2O+K2O 含有量 8.9–9.6 wt.%の粗面岩で,過去の噴出物と類似した組成」と産総研が9月7日に発表した。

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10月5日

噴火から53日後の10月5日、1040キロ離れた北大東島に軽石ラフトが流れ着いた。

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@ufuagari_jimaさんの写真。その移動速度は20キロ/日だった。海面を漂っているあいだに表面が削られて丸くなっている。大気中に噴出したマグマが泡立ちつつ冷えて固まってできた。気泡がたくさん含まれているので水に浮く。緑色の大きな鉱物(普通輝石)が目立つ。

11月10日

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