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フンガトンガの2022年1月15日噴火

噴火パラメータ
・1700開始(トンガ時間)
・1830最高潮、噴煙の平均半径240キロ。
・噴煙柱の高さは35キロ。マグマ噴出は1時間未満。
・M5.0、噴出したマグマは10億トン。

開始時刻は、
04時00分 UTC
13時00分 日本時間(GMT+9)ひまわり
17時00分 トンガ時間(GMT+13)

噴煙は、開始から90分で最大半径300キロ平均半径240キロまで広がった。その拡大する様子は日本の気象衛星ひまわりでつぶさにとらえられた(扉写真)。それは、1時間に満たない瞬間的爆発によるサーマルであって、マグマ噴出が定常的に何時間も続いたプルームではなかった。噴煙の高さは、ひまわりとGOESの2衛星画像の視差によって、中心のオーバーシュート部分が55キロと測られる。傘雲は高さ35キロを平均半径240キロまで水平に広がった。そのあと横風に流されて西に移動した。エアロゾルの垂直断面を見ると、大気に注入された火山物質の上限が30キロにあったことがわかる。

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噴出量は10億トンだった。これは、福徳岡ノ場2021年8月13日噴火の3倍にあたる。ただし、この噴火で出たマグマの量を見積もるのはきわめてむずかしい。このあと判明する観察事実によって大きく変わる可能性がある。噴火直後に私は30億トンと見積もった。そのあと噴出時間を12時間とみて60億トンと見積もったが、1月19日に1時間未満と見直して10億トンに大幅下方修正した。

  M6.1(130億トン)クラカトア1883 
  M5.8(60億トン)ピナツボ1991 
  M5.2(15億トン)富士1707
  M5.0(10億トン)フンガトンガ2022
  M4.5(3億トン)福徳岡ノ場2021

火口から70キロ離れたトンガの首都ヌクアロファに積もった火山灰は薄くて1センチしかない。茶色い泥雨として降った。SiO2が59%の安山岩らしい。直径2センチの黒い火山れきが降った報告もあるが、軽石が降った報告はない。ただし、海面には帯状の噴出物が少量漂っている。軽石ラフトだろう。

火口地形 この火山は深海底から立ち上がって頂上に直径5キロのカルデラをもつ。海面上にフンガトンガ島とフンガハアパイ島が顔を出している。どちらもカルデラ縁だ。14日噴火後で15日噴火前に取得された貴重な衛星画像が下だ。15日13時噴火の24時間前に噴煙高19キロの噴火があって、カルデラ内にあった2014/2015タフコーンがなくなっていた。

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15日噴火後の衛星画像と14日噴火前(1月3日)の衛星画像を下に掲げる。フンガトンガ島とフンガハアパイ島は15日噴火で小さくはなったが、まだ残っている。

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衝撃波が発生して全球に広がった。クラカトア1883年以来の出来事だった。地球を何周もした。一周にかかった時間は36時間だった。気象衛星ひまわりで素晴らしい連続画像が宇宙から得られた。地上では、トンガで人々が驚くような空振が、そして地球上の多地点で気圧変化が観測された。

津波が日本とアメリカ西海岸に届いた。どちらも波高1メートル余だった。南米ペルーには2メートルの津波が届き、車がさらわれて女性2人が死亡した。陸橋を挟んだカリブ海でも20センチの潮位変化があった。これは衝撃波が起こしたらしい。

トンガはいま、噴火で海底ケーブルが切れて外部との通信がままならないが、津波にさらわれた女性1人が死亡したとする報道が1月18日にあった。津波は標高15メートルまで遡上したとする情報もある。いくつかの離島で村が壊滅したとも伝わる。

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