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起業家7年生。シンデレラバスト向け下着ブランド「feast」の失敗を経て得た学び

「五味ちゃん 起業家7年生」連載の第一弾です。
第二弾は今月中にどこかで!

25歳、起業家7年生。
こんにちは、ハヤカワ五味です。

そう、実は起業家としては7年生になってしまいました。

7年生ということは、小学1年生が中学1年生になるくらいの年数を起業家として費やしてきたということですが、正直この7年は自分にとって有意義ながら遠回りだったなと思います。

趣味で作ったものをSNSにアップしたら幸運にも話題となり、それを受けて法人化したのがシンデレラバスト向けランジェリーブランド「feast」の立ち上げの経緯ですが、そもそも私はコンシューマーゲームのプランナーか広告代理店のアートディレクターを目指していました。だから、事業を継続する気はまったくありませんでした。

そんなめちゃくちゃな立ち上がりをしたfeastなので、運営する中でも問題ばかりだったのですが、ここ半年〜1年くらいでいいメンバーとも出会えて、ようやく体制を整えることができました。一方で、過去の過ちがあったからこそ、ILLUMINATEでは不要な失敗をかわしながらスピーディーに事業を進められつつあるなと思っています。

そこで、自分自身の振り返りも含めて、feast立ち上げからの7年弱についてまとめるとともに、ILLUMINATEを今後どうしていきたいのかを書いていきます。

シンデレラバスト向け下着「feast」の大きすぎる3つの失敗
・リーンに立ち上げるべき VS 一度離れた顧客はほぼ戻ってこない
・人間関係で揉めることほど無駄なことはない
・1人で行けるには限界がある


・リーンに立ち上げるべき VS 一度離れた顧客はほぼ戻ってこない

立ち上げ時はとにかくリーンに立ち上げて、その中でユーザーの求めているものにチューニングしていくべき。こうした考え方は、スタートアップでは鉄板かと思います。私も同意です。ただ、それがWebサービスならともかく、通販ひいてはブランドビジネスの場合は必ずしもその戦い方がハマるとは限らないと考えています。

というのも、物販はどこまでいっても「買い物は買い物」なので、ユーザーさんは払った金額に応じた”期待値”を持って商品の到着を待つことになります。では、ブランドが未熟な状態だからと値段を下げて提供したらいいかというと、そういうわけでもありません。過剰な値下げは今後の値付けに響きます。また、商品のない状態でSNSを利用してどれくらいのニーズがあるのかを探る方法はどうかというと、それもまた違います。「欲しい!」と声を挙げてくれるユーザーと、実際に買ってくれるユーザーは必ずしも一致しないからです。なので、一定の価格帯の中で最低限は粗相のない体験を作ることが必要となってきます。

でも、この粗相のない体験というのが難しい!

なぜなら、ECは総合格闘技的なので、チェックポイントも関係者も多いからです。自分たちがハンドリングしてる範囲では完璧なのに、決済側やカート側でエラーが起きるといったハプニングも多数発生します。しかし、うした自分たちが原因ではない問題そも含めて、ユーザーはそのブランドの体験を評価します。

個人的には、まずはリーンに立ち上げすぎない。そして、初期は焦ってユーザーを獲得せず、なるべくミニマルに。欲を言えば、粗相もやさしく指摘してくれるユーザーさんと一緒に急ピッチで改善していくのがいいのではないかと思っています。

では、私がやってきたブランドはどうだったでしょうか。

まず、「feast」に関しては完全に真逆の立ち上がり方です。

「feast」の場合は、軽い気持ちでTwitterにアップした写真が1-2万RTされてしまい(当時Twitterのユーザー数もそこまで多くなかったので大バズも大バズ)、フォロワー外から「いつ販売するんですか?」「予約させてください」「まだですか?」の嵐。そのため、まだ何も準備ができていないのにBASEでショップを開設し、予約を受け付けたところ100件が速攻完売。そしたら今度は「在庫が少なすぎる」「早く買わせてくれ」とクレームの嵐。怖すぎて在庫を追加したところ、500個が数日で売り切れてしまいました。

今だから言えますが、当時は全数手作りの予定だったので、工場とのやりとりなんてものはしていませんでした。手作りで500個なんて作れるわけがないので、これは完全に終わった! と思いました。

「ダブルチャカ」という去年クローズしたワンピースブランドに関しては、「feast」が落ち着いたタイミングだったのである程度オペレーションが整った状態でローンチすることができました。ただ、このブランドに関しては完全に原価設定をミスりました。ぶっちゃけ原価率40%強くらいだったので、どう頑張っても収益化が難しく、ブランドとしての絶対的な差別要素もなかったので2019年にクローズすることになってしまいました。

(ダブルチャカのヒール。ちなみに脚モデルはコスト削減のため私。)

現在注力している「ILLUMINATE」はその2つのブランドの反省を踏まえ、初回販売はLINEユーザーさん限定に。本販売時もギフティングなどによる過剰な露出は控え、安定供給とユーザー体験の向上に重きを置いています。おかげさまで、電話のみに解約手段を絞ったり、定期縛りをしたりせずとも解約率は10%程度で推移しています。それでも10%の方は「違うな」と思い解約しているということなので、私は毎月めちゃくちゃ心を痛めています……。


・人間関係で揉めることほど無駄なことはない

次に感じていた問題が、人間関係。feast運営時代はあまりにも日常的にハプニングが起きすぎていました。今からしてみれば、「そもそも普通はこんなことで揉めない(確信)」ということばかりでした。

そこで感じたのは、”会社や事業の問題解決”に向かっている間に結果的に“人間関係や誰か個人の問題解決”になっている場合は多いにありますが、そもそものアクションが“人間関係や誰か個人の問題解決”に向かっていたら会社経営は本末転倒だということです。会社は、何かを成し遂げるための器であり、誰かのための更生施設ではないので。

私自身が請負い気質というか、真面目すぎる側面があるので、「feast」の頃は一度採用した以上責任を持って向き合っていかなければという気持ちが強すぎました。会社にとって明らかに良くない状況になっても、苦悩しながらメンバーのケアをし続けていたこともあります。でも、それは経営者として”やった感”があるだけで、何も成し遂げていないので本当にダメだと今は思います。

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(矢印がヒトに向くとあんま良いことないので、基本はコトに向かった方がいいかなスタンスです)

そんなこともあったので、ILLUMINATEでは新規採用にかなり慎重です。それもあって、人間関係で揉めることはほぼないし、そもそも事業のグロースでてんやわんやしてるので揉めてる場合でもありません。そんな感じなので、やるべきことをしっかりとやれている感があります。

それとこれは蛇足ですが、feastもILLUMINATEも「商品を通じた課題解決」という芯があるゆえに、「自分自身の課題を解決されたい人」が集まりがちなのですが、事業者サイドは課題を解決”する”側であって解決”される”側ではありません。その線引きをfeast時代はきちんとできていませんでした。その反省も現在に活かされている気がします。


・1人で行けるには限界がある

これは6年通してギリギリと心を削られたところなのですが、「feast」は完全自己資本でやっていたこともあり、”決定的な当事者”が私しかいない状態で事業が進んでしまいました。当事者が私しかいないのがどういった状況かというと、銀行口座の残高が目減りしていくのを見てキリキリと胃を痛める人が私しかいなかったということです。特に、キャッシュフローとかもよくわからない状態でタネ金もほとんどなかったし、実家も太くないので、何度も黒字倒産しそうになりました。マジでやばい時にはプロミスで数万円借りたりもしたので、いまだに手元にプロミスのカードがあります。

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これだけプレッシャーを一身に背負ってしまうと、マジで正常な判断が難しくなっていくんですよね。その中で切に感じたのが、利害を共にし、同じ場所を目指す仲間がほしいということです。資金調達時にはメンバーを見られるみたいな話もありますが、本当にそうだと思います。1人でできることには限りがあります。具体的に言えば、自分の場合は年商5000万くらいが天井かもなと思っています。自分もそうですが、その気になれば何でも器用にやれてしまう(ただスピードは落ちる)人間だからこそ、その状態に甘えずより良い仲間を早いうちに見つけるべきだと感じます。

そんな感じで、以上の3つがfeastをやっていく中で特に強く感じた反省点ですが、1つ目に関してはブランドの考え方についてですが、それ以外は基本的に人の話なんですよね。

結局、自分の力なんてたかが知れているので誰と一緒にやるかが重要なんだなという至極当たり前のようなことに気づくための7年だったのかもしれません。こんな何度も語られてきたことを骨の髄まで理解しきるのに7年かかってしまった、という遠回りエピソードでした。


ここからは少しだけILLUMINATEの話をさせてください。

この7年、何度も「人が重要」という話を見たり聞いたりしてきましたが、思い返せば「目の前の売り上げを立てる」という商売人としては真っ当だけど経営者としては甘い言い訳に逃げてばかりだったように感じます。

でも、今年の初頭にILLUMINATEを今後どうしていきたいかをゆっくり考えている中で、この事業を大きくして日本全体に知ってもらうことが必要だと感じました。そして、そのためには腹をくくって人や組織について考えていかないとだめだなと。その頃には自分だけで作れる限界の規模感にもなんとなくアタリがついていたので。

そういった背景もあり、当時フリーランスだった同級生のミナをデザイナーとして誘い、ILLUMINATEを株式会社ウツワから株式会社KOHKOHにスピンアウト&法人化した直後の今年5月には資金調達も実施しました。

そして、今、ILLUMINATEに決定的に足りていないのは「ボードメンバー」です。

具体的には、推進力とビジョンのあるハヤカワ、右脳的なミナに続く、左脳的な考えで自走できる人を探しています。

これまでは会社の攻めと守りを私が一手に担っていましたが、それだと大きなリスクを取ることがなかなかできません。言い換えれば、ブレーキ役を誰かに任せられたら、私はもっとアクセルを踏むことができるということです。

実は株主のWventures 東さんから私についてのコメントをもらっているのですが、それが的確だったので一部抜粋します。
(全編はまた別途掲載します)

(ハヤカワさんは)「結構慎重」です。経営としての悲観プランもしっかり考えています。投資家としては安心するところもあるのですが、これまでのMTGでの私の役割は「背中を押す」ほうが多かったです。とことん考え抜いて、意思決定したいタイプなので、チームとしてはそういうチームを作っていかなくてはいけないなと思います。

もともと自己資金でやっていたこともあってかなり慎重なんですよね。なにより、守りが不在の状態でアクセルを踏んで地獄を見たことがfeast時代にあったので、そこが不在の状態では過剰に慎重にならざるを得ないのです。

だから、私がアクセルを踏んでる間にブレーキを任せられる人や、助手席で的確に道案内をしてくれる人がほしい。

心当たりのある人、事業に興味のある人がいたら、ぜひ一緒にウィメンズヘルスケアでの第一想起ブランドを作っていきましょう。

ちなみにfeastの運営メンバーもゆる募してますよ。

という感じで、最後はメンバー募集中! 必要! という話になってしまいました。

これまでメディアで散々取り上げていただいたfeast事業ですが、私個人としては反省点もたくさんあるので、整理できてよかったです。

第二弾もお楽しみに。

いつも読んでくださりありがとうございます!サポートは、お勉強代として活用させていただいております。