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【感想】NHK歴史秘話ヒストリア渋沢栄一「時代を開く」

昨日2021年2月24日(水)NHK歴史秘話ヒストリアで渋沢栄一を題材にした番組をやっていたので視聴しました。

大河ドラマ『青天を衝け』の番宣ですね。

渋沢栄一の銅像が東京大手町にあり、銅像の近くで街行く人に渋沢栄一を知っているかを聞きますが、具体的に何を行ったか、あまり知っている人はいないようです。
まあ、そうでしょうね。歴史小説とかドラマでは見かけませんから。
渋沢栄一が創設した清水建設に残る文書に、新規に受注したプロジェクトは皆の注目が集まるから重視するが、日々の小さな仕事の手を抜いてはならぬ。と書かれています。
どこぞの某起業家に聞かせてやりたい言葉ですね。注目を浴びて金を集めるだけでは駄目だということを。

■まずは青年時代から

14歳で商売をはじめます。信州から上州高崎まで藍玉の栽培から買付、販売まで見聞を広める機会を得ます。これが後の事業家としての才能を目覚めさせます。
大河ドラマ『青天を衝け』ではあまり表現していませんが、実家はかなり裕福な農家だったようです。
ここで、藍玉製造農家の番付表である、「武州自慢鑑 藍玉力競」が登場。
これは、現在【渋沢栄一記念館】に展示されている『武州自慢鑑 藍玉力競』を見ると良さそうです。
地域全体の藍の品質を向上させるために「番付表」というアイデアを思いついたようです。
ここでも、渋沢栄一の「みんなが豊かになる仕組みづくり」という思考が見て取れます。
そして、栄一の敵である代官のエピソードが登場。
役人が家に来てお金を献上するように命令します。それに対し渋沢は土下座して対応しますが、なぜお金を差し出す側が土下座しないといけないのか、と世の中の仕組みに対し大いに疑問を持ちます。
裕福な実家なので、悪は貧困ではなく高官になるのでしょう。
そして、尊皇攘夷の思考が流行します。幕府は欧米列強に弱腰だから退治せよと。
栄一も日本にいる外国人を征伐し、幕府も倒すのだと、武器を買付け同志を70名集めます。
しかし、従兄弟の尾高長七郎(惇忠)が命がけで止めます。
栄一は幕府の敵にならずにすみます。
1864年、栄一は慶喜の家臣になります。その理由は幕府の追手から逃れるためにとのことです。

■フランスへ

幕藩政治の改革のため、慶喜の命で日本全国を視察することになります。
摂津や播磨といった天領では、お米や木綿の販売制度を変革し、藩だけでなく一般庶民も豊かになる仕組みづくりを行います。
慶喜が将軍になり、栄一躍進のきっかけとなるパリ万博への派遣が決まります。
尊皇攘夷といっていた人間の考えが、180度変わるきっかけですね。
思想転向もそうですが、タイミングも重要です。
1867年にパリに派遣されたため、大政奉還から江戸城開城など江戸幕府消滅には立ち会っていません。
明治維新政府の重要ポストにはつけなかったし、権力闘争に関わっていません。
この辺、重要なターニングポイントだったでしょう。
薩長ではなく徳川側である人間が飛躍する環境として、これ以上無い条件に見えます。世の情勢を見極める目も鋭かったんでしょう。
パリ行きの途中、スエズ運河の建設に遭遇します。
陸を海に変えるような大事業を民間企業が行っていることにびっくりします。株式会社の魅力を発見ですね。
すごいタイミングですし、目の付け所がやはり「商人」です。
商業で国を豊かにするという思想が芽生えたのでしょう。

■知られざる戦い

1869年、渋沢栄一は、大蔵省から呼び出され粗税主に任ぜられます。
粗税徴収で足りないものを問われ、鉄道、保険、銀行、紙、レンガなどを挙げます。
その後1873年、政府を辞め、自ら事業を立ち上げます。
第一国立銀行を設立します。
その次に立ち上げたのは意外なものでした。それは「紙」です。
日本の和紙ではなく、西洋の紙です。
海外派遣で学んだんでしょうね。西洋の紙が便利で大量生産できることを。
しかし、ここで問題発生です。
自社工場の隣に国立印刷局の工場がやって来ます。
現在の東京都北区王子の印刷局です。
どうも、岩崎弥太郎と大隈重信の妨害工作のようです。
岩崎弥太郎は敵対勢力ですが、大隈重信も敵だったんですね。
この辺、大河ドラマでどう描くか楽しみなところです。
窮地に陥った栄一ですが、また救われます。
地租改正による紙の需要増で、政府も栄一の工場に頼らざるを得なくなったのです。
この地租改正は、栄一が提言したものだったそうで、巡り廻ってかえってきたのには驚きです。運命を感じさせます。
最後のエピソードは、東洋紡に残る渋沢栄一の書です。
それは、「順理則裕」
りにしたがえば、すなわちゆたかなり(道理に順って生きることが繁栄につながる)
渋沢栄一の座右の銘です。

以上が今回の歴史秘話ヒストリアの概要です。
おそらく、この内容が今後の大河ドラマでも扱われるのでしょう。
教訓めいたことはドラマですと固くなりすぎますので、岩崎弥太郎との対決がみたいですね。
半沢直樹ばりにやっつけてほしいものです。

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