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コニャック短歌6.

明石海人(1901~1939)。享年37歳。静岡県沼津市生まれ。教師となり結婚もしたがハンセン病発病。家族を偏見差別から守るため、名前素性を隠し、療養施設、愛生園に入園。34歳から短歌を学び、歌集『白描』を出したその昭和14年死去。

『深海に生きる魚族のように、自らが燃えなければ何処にも光はない』白描序文

『眼も鼻も潰え失せたる身の果に しみつきて鳴くはなにの虫ぞも』

『コロンブスがアメリカを見たのはこんな日か 掌をうつ青い太陽』

『診断を今はうたがはず春まひる 癩に堕ちし身の影をぞ踏む』

業病と信じられていた癩病にかかることは、現代では想像もつかない人間としての死を意味した。淡々とした歌調の向こうには、踏み越えてきた死屍累々がある。

明石海人に献杯!

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