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夏伯爵詩集

ただ
列車に乗ることで
私たちは
列車の魂と接続できる

あめつちの中を
寡黙に走りながら
列車は地霊や
時の氏神や

時代霊や
民族霊を
鉄の躰に
宿し
記憶し続けている

私たちは
列車に乗ることで
私たちの血の中の記憶を
脳裏に映し出し

自分達が
血肉と骨髄、内臓器、脳髄の
運転手であることに
気づかせられる
私たちの中の民族魂
私たちの中の時代魂に
私たちは
始めて遭遇する

これから
あめつちが
蒼く燃える中
私たちは
列車霊と
小さな過去
大きな過去を
今度こそ
全身全霊で
走り抜ける



■画像はヤフー蒼い地平画像より。『暁にすぎさった蒼い地平を求めて』坂東壮一、銅版。

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