春侯爵詩片

生きることに
学びが必要なように

老いることにも
学びが必要だ

花咲かず
実りなくても
老いそのものが
輝きであり
結晶だから
(痛風は嫌だが）

老いることに
学びが必要なように

病を生きることにも
学びが必要だ

壊れること
崩れ落ちること
そのものが
宙空から自分自身を見る
自分自身をいつくしむ
霊的視界の始まりだから

病を生きることに
学びが必要なように

死を生きることにも
学びが必要だ

孤独の中で
深いバルドゥの瞑想に
入れなくても
群衆の中で
看取り看取られ
微笑み微笑まれることで
そこには
菩薩の来迎が
待っているから

たとえ
生物兵器に倒れた大群衆から吹き出す
毒素の霧の中であろうとも

私は
苦しみの中から
微笑み交わし合う
大群衆の中で
息絶えたい

看取り看取られ
微笑み交わしながらの
祈りこそ

人間としての
まごうかたなき
最高の
最期だから


■画像はヤフー静寂画像より。