クオンタム・スパイダー読書 『法力とは何か~「今空海」という衝撃』老松克博著を読む6.
『法力とは何か』
“第一章 鉤召
ことの成り行き
それから、文字どおり、和尚の難行苦行がはじまった。与えられた時間は半年。その戦闘機を呼び寄せて捕まえるべく、宗祖の言葉を信じ、経典の智恵を信じ、みずからの使命を信じ、人間に与えられている力を信じて、身口意の三密を加持し(行いと言葉と気持ちのすべてを真に一致させること。後述)、護摩を修した。
半年の猶予期間はまたたく間に過ぎていった。そして、いよいよ、当日を迎えた。あの地蔵流しの町は、どことなく落ち着かない雰囲気になっていた。この日の△△時△△分に何かたいへんなことが起きる、という噂が流れていたらしいのである。~鋭敏に嗅ぎつけた何人かの情報通が町に集まってきていたという。
和尚は自坊でひたすら拝み続けていた。~~すると、そこに驚くべき報せが飛び込んできた。某国空軍の兵士が例の戦闘機を操縦してその町に近い空域に現れた、しかも自衛隊の警戒網をくぐり抜けて接近しつつある、というのである。目的は明らかでない。現地は騒然となった。
その頃、和尚は、意中のものに網をかけて手繰り寄せる呪法(鉤召)から、金縛りの呪法に移っていた。そのタイミングは、「自分で相手を引っ張り寄せてるんだから、当然わかります」とのことである。「すべてのものとつながることのできる意識の水準というのがあるし、波動は伝わるものだから」とも。
こうして兵士は身体の自由を奪われ、みずからの意志とは別に、抗い難い力によってその町の空港に着陸することとなった。一部の者たちは、あらかじめその現場にいて準備を整えていて、刻一刻と高まる異例の緊張感のなか、虎視眈々とスクープを狙っていたという。〜〜
しばらくして、操縦してきた兵士がわが国を経由しての亡命を望んでいることが明らかになった。彼は、某国を脱出するにあたり、戦闘機をいわば手土産がわりに持参したというわけである。〜
まもなく、和尚の寺に一本の電話がかかってきた。くだんの官僚から、戦闘機が到着した、成功裡にことが運んだ、という一報である。〜〜このときはじめて、和尚は、みずからの加持祈祷の験が現れたことを知った。
ところで、近年出版された本のなかに、このエピソードをめぐって和尚のことに短く言及しているものがいくつかある。~~
「まちがったことが書いてあるので、そこを正しておいてほしい」と和尚。〜
まず、その本には、戦闘機の入手を最初に依頼したのは某省庁だったとあるが、はじめは漁連の会長だった。次に、操縦桿に不調を発生させた旨が記してあるが、和尚曰く、「それだと危ないでしょ。飛行機ではなく、操縦士に金縛りをかけたの。安全に降りられるよう、着陸直前には術を解きましたしね」。くわえて、さる高貴な方とあらかじめ計画を練っていたというようなことが書かれているが、それも事実ではないそうである。
和尚のところには、国の存亡に関わるレベルの相談や依頼がたびたび持ち込まれる。和尚はそれらについては非常に口が固く、何であれ、具体的に語るということがない。”
■画像はヤフー法力画像、ミグ亡命画像、好奇心画像より。
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