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春侯爵詩片

お前が
この世を離れて
はや10年になろうとしている

焼け付くような
お前の最期の気持ちを
感じていないわけではなかったが

どうだ
そちらから見て
こちらの地獄度は?

激流に押し流されるような
お前の死だったが
今はそちらで
夏の強い陽ざしのさす
白いアトリエで
心ゆくまで
肖像彫刻を
製作しているのだろう

こちらは
立ち枯れてゆく木のように
情熱も感性も
ひび割れてゆく日々だよ

至るところに
人工地獄が作られ
生きながら人間が子ども達が
焼き殺され
餓死させられ
日本では40万人殺されても
誰も気づかないんだよ

急激な退化が
人間という種そのものの腐死が
俺の最期の時代だなんて

笑えるよな


そのうちまもなく
そちらに行くよ

またな

■画像はヤフー、光さすアトリエ画像より。

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