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春侯爵詩片

ちょっとした違い
なのですが
天地の差だと

亡国の民と
忘却の民とは

亡国の民には
まだ見果てぬ望郷の思いがあるので
生きることの誇りを持ち続けるので
愛と義の為には命を捧げられるので
地の果てまで流されても
やがてまた
暖かい
新しい国を持てるが

忘却の民には
もはや民族としての純潔も
人間としての正しい決意も
腐れ果てるので
どのような大切なことも
あっという間に忘れ
果てしない欺瞞の闇に慣れ
お互いの霊を誤魔化しあい
生きることの誠を捨てて
なんとなく
同族同士殺し尽くしあってしまったという
世界最凶最悪の
神々も目をそむけたもう所業を
やすやすとなしてしまったという
青黒い無恥の烙印が
魂に焼き付けられるので
もはやこの地上に
居場所は無くなる

最も激しい
最も卑しい
地獄のさらに下に
おもむくことになる

魂の腐敗腐乱の
極致に
堕とされる


■KeithJarrett、ViennaConcert 1992を聞きながら。
■画像はヤフー、モノクロの世界画像より。

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