春侯爵詩片

自分の今に

水が枯れた川底のような
荒れ果てて林になった田んぼのような
自分の日々に

古典的な音楽を
古典的な詩を
流し込んでやるんですよ

ヘッセや
ヘルダーリンや
ゲーテや
リルケや
ホイットマンや
高村光太郎や
室生犀星や

ボレロや
ドビュッシーや
エンヤや
エニグマや
久石譲や
山下達郎や
ユーミンや
キース・ジャレットや

そうすると
今の自分に
木洩れ日がさし
雲影がよぎり
キジバトの夫婦が現れ

これから何かが
開けてゆくと
知らせてくれるんですよ

暦を還す
内なる渓谷に
足を踏み入れなさいと

老人の中の
青年には
無限の旅が
許されているのです

だから
あなた自身に
素晴らしいすべてを
許して
あげて
ください

それらは
すべて
もともと
あなたの中に
流れている
のだから

今も
ずーっと昔も
これからも
ずーっと

あなたも
わたしも
流れそのもの

なのですから