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冬大佐詩集

暮夜
廃村間近の
生家の部屋で
東京にいる自分を
夢想してみる

数十年の時をへて
伴走してくれる友は
もう一人もいない
私の場所も時間も
東京には存在しえない

何もかもが
人間の津波となって
通り過ぎていったのだ
人々こそ時代の素粒子だったのだ

ただ
生き別れたあなたの
面影のみが
あの頃のままで
青くかぐわしい
青春の月明を放っている

いいんですよ
もう
お互いに年老いた
姿を見せましょう
今のあなたが見たい

東京の夜のどこかの街角で
あなたと歩きたいから

そうすれば
永遠の風が
吹いてくるから


■画像はヤフー、青い画像より。
■Joe Hisaishi、Oriental Windを聞きながら。

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