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春侯爵詩片

村が
一日一日
一夜一夜
死んでゆきます

日が落ちると
点々とあった
窓の明かりや
街灯の光が
もう
無くなってゆく

あとには
山の航空灯の
赤い光だけ

幸い山陽本線が
多くの人々を
毎日毎夜
運んでゆきますが
人々は朧な夢を
落としてゆくだけ

毎夜
弱々しすぎて
地面まで届かず
そこにあると
わかるだけの
街灯を見ています

おそらく
日本中の
町や村で
光のモールス信号が
もう脈打たなく
なってゆく

人々が
家畜専用列車で
巨大な豚舎に
連れ込まれてゆくから
朧な意識に
沈んでゆくから

でも
襤褸を纏って
放浪する人々も
必ず現れるから

私も
流体
流れ者?
になろうと
思っています


■山下達郎、HERONを聞きながら。
■画像はヤフー、おぼろな風景画像より。霧の浮島公園、おぼろな日の出。GANREF。

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