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夏伯爵詩集

今ならば
わかるんです

どの夏が
私の魂を
封じ込めているのか

毎年やって来る夏の中で
私にとっては
あの練馬の夏

天衣無縫の私と
彫刻に身も心も捧げていた
あいつと

連れ立って
街の中を
山の中を
なぜか
いつも
さまよっていました
まるで地形の中に
魂のフォルムを
探求するように

そしてあいつが
この世に
影も形もなくなってからは

命をこめる夏は
もう来ません

私の心臓は
琥珀の中に
封じ込められて
しまったからです

だから
この曲を聞くと
心臓の中の夏が
震え始め
泣き始め
響き始めるんですよ

そして
私が
化石に
ならずにいられるのは

あなたが
おそらくこの世界に
まだ生きてくれている
からです

そして
あなたが
冬の愛で
私を
生かし続けて
くれているから

あなたからの
霊的な愛が
そっと
微笑んで
くれている
から



■久石譲、“Summer”を聞きながら。
■画像はヤフー、琥珀画像より。

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