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生活の中に介護職という仕事を。

高齢化社会と介護職

皆さんは介護の仕事にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

例えば、3K(きつい、汚い、危険)や、低賃金で重労働だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際に「介護職のイメージ」について調査会社が調査した結果によると、上位回答は「体力的・精神的にきつい」「給与水準が低い」「離職率が高い」「休みがとりにくい」でした。

日本は、2007年以降、65歳以上の人口の割合が20%を超え、超高齢化社会へと突入しました。内閣府発行の高齢化白書によれば、昨年(2020年)の高齢化率は、28.8%となり、人口のおよそ3人に1人は65歳以上となりました。  

 そして、近年、介護従事者が不足しているというニュースをよく耳にします。実際に必要な介護従事者は、2016年より、毎年6万人の確保が必要と言われており、2025年には32万人、2040年には69万人の介護従事者が不足すると言われております。しかしこれは、人口減少による労働力人口の問題で、人材不足問題は、決して介護職に限られたことではありません。

 私は介護施設の運営をしておりますが、介護業界だけがそんなに悲観的になる必要はなく、周りを見れば、看護師も足りない、医師も足りない、いやいや、建設業も足りない、運送業も足りない、飲食業も足りない。今、どの業種も人材が足りていないのが現状ではないでしょうか。とはいえ、介護サービスを営む私としては、少しでも介護の仕事に携わる人を増やしたいという思いがあります。

 ではその為にも、冒頭にお伝えした「介護職のイメージ」を払拭すべきなのか。私の答えは「ノー」です。介護の仕事は、やはり体力仕事の面もありますし、給与水準が決して高いとは言い切れないからです。

介護職不足の本質

 「介護職は、イメージが悪いから人材不足になっている」という考え方はどこか寂しいです。私はそのような考えはもっておらず、そもそも『介護職の働いている姿を見たことがない』ということが問題だと思っています。

 例えば、プロ野球選手になりたいという人はどの時代にも一定数います。今では、ユーチューバーになりたいという小学生も多くいます。昔ではとても考えられなかった職業です。では、プロ野球選手やユーチューバーと、介護職との大きな違いはなんでしょうか?

それは、『露出度』です。

 プロ野球選手やユーチューバーは、自ら情報をとりにいかなくても、テレビやスマホでそれがどんな仕事かを理解することが出来ます。しかし、介護職となると、どのようなことをしているかを想像するのは難しいわけです。

介護職の露出を考えたとき、まず考えるべきこと、それは、私たちは街で車椅子や歩行器を使っている高齢者を見かけることがないということです。例えば福山駅前を歩いていて、車椅子の方をどのくらい目にしますか?杖を持った方を目にすることはありますか?

 街で車椅子の高齢者の介助をしたり、杖歩行の方の歩行を介助した経験がある方がどれくらいいるのでしょうか?車椅子の操作の仕方がわからない方も多くいるのではないでしょうか。これが意味するものは、「街に介助を必要とする人がいないので、介助をする人を見る機会がない」ということです。

しかし、介護施設の介護職は、毎日車椅子の方を介助したり、半身麻痺の方をお風呂に入れたり、寝たりきりの方の排泄介助をしているわけです。しかし、このようなことは、公共の場で見ることは皆無であり、実際に働く現場を見てもらう以外、介護職のやりがいや魅力には気づいてもらえないのです。私はここに、介護職の人材不足問題の本質があるのではないかと思います。

 介護職が憧れの存在になるために私ができることは、車椅子の方やリクライニングを方と一緒に街に出て、皆さんと同じように買い物をしたり、観光をしたりすることです。ヨーロッパでは、日本以上にそのような光景を街で見かけることが出来ます。バリアフリーが整備されていても、それを利用する人が当たり前に利用できるマインドに変わっていくことが大事なんだと思います。そう考えると、介護施設、介護職の使命は、「露出する」ことなのかもしれません。





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