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ヒーローショーのアクション!その1

こんにちは!アクションチーム隼のあしざわです。

今回はいよいよ、おそらく皆さまが一番興味のある(…のかな?笑)

ヒーローショーのアクションの話でございます。

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【主菜・副菜】


キャラクターショー(特に特撮ヒーローショー)では

人々を苦しめる悪の一味と正義の主人公が戦って、ピンチになったりしながらも…激闘の末、正義が勝つ!そんなところが一番の見せ場になります。

つまり、「ヒーローがパンチやキック(や武器)を駆使して『戦う』こと」が一番の主菜・メインディッシュなのです。

バク転や宙返り、飛び降りスタントなども、ショーのアクションを彩る大事な要素(副菜)ではあるのですが、肝心の「戦いのお芝居(立ち回り)」がカッコよく・迫力が無いと、アクロバットやスタントの凄い技も、色あせて見えてしまいます…。

という訳で、今回は「キャラクターショーのアクション」の大基本であり主菜・メインディッシュである「立ち回り」のお話をさせて頂きます!

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【そもそも「立ち回り」って?】


まず大前提の話をしますね(´ω`)

ヒーローショーでは、「ヒーロー」と「悪の一味」が何度も戦います

・ヒーローと悪の戦闘員数人との戦い。
・ヒーローと悪の一騎打ち。
・悪の親玉と複数のヒーローのバトル。

何十回もパンチとキックをして、相手の攻撃を避けて受けて、転がってバク転して吹っ飛んで…と、ヒーローと悪役が大暴れのバトルを繰り広げます。

その一連の戦いは、「好き勝手に暴れてる」わけでは無く、「なんとなく雰囲気で、アドリブで動いてる」わけでも無く…

最初出てきて、どこに立つか?から始まって、パンチもキックも避けるのも転がるのも…基本的にアドリブは無く、ダンスの振付のように、全部・1から10まで細かく段取りが付いています。


その「戦いの芝居の段取り」の事を「立ち回り」といいます。


我々アクションマンは、ショーの度にその「立ち回り」を覚えて、ショーに臨みます(`ω´)ノ

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さて、その「立ち回り」ですが、

どんなモノにも基本があるように、当然「立ち回り」にも基本があります。

で、「流派」ってワケじゃ無いんでしょうけど、「立ち回りの基本」は、事務所や地域によって様々な種類や考え方があるようです。

すみません!大事なことを申し上げます。

このnoteでは「私あしざわが知ってる・経験した事だけ」を書きたいと思います。

ですので「立ち回りの基本」も「私あしざわが知ってる・経験した」ものだけを書きます。

「何がどれより優っている」「劣っている」…みたいな話は分かりませんし、書きません。
物事には多種多様な考え方があり、僕は何1つ否定をする気持ちを持っていません。

「自分の習った技術と違う」「自分の習った理論と違う」といった事をお感じになられる方もいらっしゃるかもしれませんが…そこは、僕のnoteの主旨をご理解いただいた上で、優しくスルーして頂けますと幸いです。


【ヒーローアクションの「基本」とは】


さて、では、いよいよ具体的な話に入ります!

以前の記事でもチョロッと書きましたが…日本初のヒーローショーは、今から約50年前に放映が始まった変身ヒーロー番組「仮面ライダー」のショーだそうです。

その仮面ライダーのアクションは、時代劇の「剣殺陣」の要素を取り入れたもので、日本で初めて体系化されたヒーローアクション」だと思います。

その「日本初の、体系化されたヒーローアクション」は、様々なキャラクターショー事務所に広まり、あしざわもこの業界に入った事務所で、徹底的に教わりました

キャラクターショーのアクションを経験された方なら聞いた事(習った事)もあるかも知れませんが、「千鳥」「ボディアッパー」「裏拳足刀」…などなどは、その技です。

…知らない人からすれば、「???」ですよね笑。

いずれも、「相手に攻撃をする。それを避ける」「相手の攻撃を受けて、反撃する」…といった、短いアクションの段取りに名前がついてるものです。
(今後、1つ1つご紹介していきます〜(´ω`)ノ)

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ただ!ちょっと誤解されているのですが、

このキャラクターショーアクションの基本技術の肝は、「千鳥」や「ボディアッパー」などの(最近ではあまり使われなくなった)技そのものでは無く、技術理論にあります

徹底的に「観客の目」を意識したその技術理論は、おそろしく汎用性があり、実用性に富んだ優れものです。


その技術理論というものを、これからこのnoteで、動画で実際の動きを見せながら、何回かに渡ってご紹介したいと思っております!

僕の知ってる限り、いわゆる「伝統的な、キャラクターショーアクションの基本の技術理論」を事細かに説明した文章や動画は現在どこにも無いと思います。

ヒーローアクションはもとより、現代アクション・香港アクション・リアルアクション…どんな立ち回りにも応用できる、「立ち回りのベース」みたいな理論です。

自分が大昔に先輩たちから教わった技術が、「今」のアクションマン・アクションマンを目指す皆さまの、ちょっとした参考になれば…

そして、ご覧の全ての皆さまが「アクション(立ち回り)」に興味を持って頂くきっかけになれば…

と思っております!

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動画撮影は、コロナが落ち着いてからになってしまいますが…(>_<)


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本格的にご紹介を始める前に、ちょっとだけ内容のチラ見せを…( ´∀`)

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【誰と戦ってる?】


例えば「パンチ」。格闘技的にいうと「ジャブ」「ストレート」「フック」「アッパー」などの種類があります。各パンチの詳細は省きますが…
いずれも、格闘技の攻撃は「相手に悟られないように」「極力小さい動作で」「効くところ(急所)を狙う」という鉄則があります。

ではキャラクターショーのパンチはどうでしょう?

まず、良く言われるのは「戦ってる相手」です。

もちろんヒーローは、目の前にいる戦闘員や怪人と戦ってるわけですが、本当は戦闘員や怪人と戦ってるわけでは無くて…「戦ってる相手は観客」と言われます。

我々アクションマンの戦いは、本当に戦ってるわけではありません
パンチはもちろん本当に当てず相手の顔・数センチ前を素通りさせます

その「素通りパンチ」を、お芝居テクニックリアクション(やられ技)で、「もの凄いパンチに当たって、吹っ飛んだ!」「痛そう!」…と観客に思われたら我々の勝ちですし、全然当たってるように見えなくて失笑されたら我々の負けです。

相手を殴るのでは無く、「相手を殴ってるように観客に見せる」
「相手と勝負してる訳では無く、相手と組んで『観客』と勝負している」
これがアクションのパンチです。

ちなみにもちろん、敵(観客)は一人ではありません。少ない会場でも数十人。数百人は当たり前。だだっ広いステージで、時には数千人の観客と勝負をします。

だだっ広いステージで、数千人の観客に「すごいパンチだ」と伝えるには、格闘技のような「相手に悟られないような、小さな動作のパンチ」では難しく…それ相応の殴り方・テクニックが必要になります。

それがキャラクターショーのパンチ(立ち回り)なのです。


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【パンチのテクニック】


パンチには当然多くの種類がありますが、一番代表的で、一番特徴的なのは

「顔を殴るパンチ」です。


通常、例えば格闘技なら、顔を殴るパンチは「拳をまっすぐ突き出す、ジャブやストレート」「水平に拳を振り横から当てる、フック」「下から拳を突き上げる、アッパーカット」…などがあります。

キャラクターアクションの、代表的な「顔を殴るパンチ」の殴り方は、そのどれとも全く異なります。

キャラクターショーアクションの「顔を殴るパンチ」は…

①拳を軽く握って(ギューっと握ると当たった時に危険。それと、強く握らずフワっと軽く握った方が、拳が大きく見えて迫力が出る)

②自分の「耳の上」くらいまで、大きく振りかぶる。遠くからでも見えるように、大きく!

③そこから、対角線上の斜め下に向かって、拳を大きく振り抜きます。「自分の足に自分の拳がぶつかるくらい」最後まで大きく振り抜きます!

その時、必ず「手だけじゃなく」、足を半歩ななめ前に踏み出して
正面から見ると「右パンチなら、右から左に」「左パンチなら、左から右に」半歩分身体を移動しながら殴ります。

これが、キャラクターアクションの、代表的な「顔を殴る」パンチです。

格闘技的には「ありえない」殴り方ですね笑。
強いてイメージを言うなら「まったく格闘や暴力に縁の無い人がイメージする、思いっきりケンカで人を殴るパンチ」といった感じでしょうか。


なんでこんな殴り方をするのか?


実際の、実戦(格闘技)のパンチと、ちょっと比較してみましょう!


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理由①…「今から殴りますよ〜」と伝えてる


実戦でのパンチは、相手に『今から自分が殴る』ことが、バレてはいけません。バレたら避けられてしまいます。
相手にバレないように、コンパクトに素早く殴り、相手に気づかれないうちに当ててしまいます。

アクションのパンチは、意図がまったく真逆です。「今から拳を思いっきり振り上げて〜、さあ今からブン殴りますよ。ちゃんと見ててね!」と、動きで観客に伝えて、期待させるのです。


理由②…まさしく「思いっきり殴ってるように」見えるから


実戦格闘技)のパンチは、往往にして非常に理論的で科学的です。
「相手の顔面を殴って倒す」のは、「力まかせに殴って、力で吹き飛ばす」のでは無く、「アゴを殴ることによって脳震盪を起こさせ、倒す」…といった具合に、最小の力で最大の効果を狙います。

動きはなるべく小さく。
余計な動きはしないで、シンプルに。
「他人にどう見えるか?」より「効果、威力」を最優先。

…こんな意図で殴ります。

アクションのパンチは、意図がまったく真逆です。実際の威力は関係ありません。思いっきりブン回して殴ることにより「あんなフルスイングのパンチが当たったら、相〜当〜痛いだろうな」と、観客に想像させるのです。


理由③…「かぶり」


キャラクターショーの観客は、大抵が「正面」から我々のアクションを見ています。
パンチは「本当は当たっていない」ので、「当たっていないのがバレない位置」で相手を殴らなければなりません。

相手の正面に立ち、相手は背中を観客に向けた状態で、相手の顔面を殴れば、相手の身体が観客の視界にかぶって「実際に『拳が相手の顔に当たったか?』見えていない」ので、上手く「殴ったふり」「殴られたふり」をすれば、本当に当たったように見えます。

ただ、相手(殴られる方)が自分(殴る方)の真正面に立って、あまりにも全身で「かぶる」と、観客から自分(殴る方)がまったく見えなくなってしまうので…

だから殴る方は、大きなモーションで殴り、さらに殴る時に左(もしくは右)に殴りながら移動して、「殴っているんだよ」と観客にアピールすることが必要となります。


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…以上が、キャラクターショーアクションのパンチの一番代表的で、一番特徴的な、「顔を殴るパンチ」の説明です。

わ、わかりますかね…?(^o^;)

まぁ文章だけですと、分かりづらいところも多々あると思いますので、コロナが一段落したら徐々に「動画付き」で説明をしたいと思います。

ご期待ください!


【アクションチーム隼 代表 あしざわ】

この「ノート」で取り上げて貰いたい・書いて貰いたいキャラクターショーの話題などがありましたら、お気軽にツイッターのDMなどでご連絡くださいませ〜(´ω`)ノ

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