能力、適性関係なく最終追い切り良く見えた馬(桜花賞)

能力、適性関係なく最終追い切り良く見えた馬(桜花賞)

クイーンズウォーク
ステレンボッシュ
コラソンビート
セキトバイースト
チェルヴィニア
次点で、アスコリピチェーノ。

今年の桜花賞における個人的な関心は、チェルヴィニアがどこまで走れるのかの一点に集約される。

まず、巷間言われていることとして、昨年の阪神JFの時計はとても優秀。
レースラップが5F58.2であることに対し、勝ったアスコリピチェーノの上がり3Fは33.7、ステレンボッシュで33.5。3着のコラソンビートになると34.1まで落ちますが、それでも勝馬から0.2秒しか離れていない。
決着時計が1.32.6、コラソンビートの時計が1.32.8なので、各5Fの時計はアスコリピチェーノが58.9、ステレンボッシュで59.1、コラソンビートで58.7となる。
このとおり、5Fの通過順位は前からコラソンビート、アスコリピチェーノ、ステレンボッシュとなっており、順当に追走に脚を使った分、上がりの脚に影響が出た。
それでも、いずれも5F1分を切るペースで走っていながら、アスコリピチェーノとステレンボッシュは上がり33秒台が出せた、高速ペースに対する耐性があると見ていい。コラソンビートも同様だけど、1600だとやや距離が長い分、2着馬までと比べると余計に脚が上がっている印象ですかね。

では、このアスコリピチェーノのマークした上がり33.7よりも速い、上がりの時計を出したことがある馬はといえば、クイーンズウォークとチェルヴィニア。
クイーンズウォークは新馬戦で33.6、クイーンカップで33.4の時計をマークしていますが、前者のペースは5F1.03.9の超スロー。まー、セキトバイーストがいる時点でそんなにペースが緩むことはないでしょう。
クイーンカップは5F58.7ですが、馬場差からスローの認定で、さらに道中は13頭中11番手。位置が取れないことからすると、アスコリピチェーノを差し切るのは1600だと少しばかり難しそう。

ということで、ようやく本題のチェルヴィニアになるわけですが、やはりこの馬は未勝利戦の上がり33.0とアルテミスSの上がり33.3が優秀。これだけの末脚を繰り出しつつ、道中はそれぞれハナと3番手だったのだから必然期待してしまうわけで。

ただ、問題は高速ペースに対する耐性があるか。
末脚と追走スピードは、阪神JFにおける位置取りと末脚の相関からも明らかなように、トレードオフの関係にあるといっていいわけで。いかに33.0なんて数字を出していたところで、スローペースでのものだったら割り引いて考えるのが筋。
チェルヴィニアの場合、未勝利戦のレースラップは、1800ということもあるけれど、5F1.01.7。アルテミスSで1.00.0。要するに5F1分を切るラップを経験したことなく、いずれのレースでも前受しているわけで。
じゃあ桜花賞のラップが5F1分を超えるようなものになるかといえば、相当の道悪ならばあり得るかもしれない。だが、道悪はチェルヴィニアにとっても不利。
そもそも稍重のチューリップ賞でセキトバイーストが刻んだラップは、5F57.7。まあこれで上がり3F34.3しかマークできていないスウィープフィートに差し切られるわけなので、本番緩める可能性はあるかな。それでも、シカゴスティングなどもいる中で1分を超えてくることは、少し想像しづらい。

結局、チェルヴィニアに課せられているのは、道中経験したことのない速いペースの中で、どれだけ末脚を発揮できるか。そこに尽きるのだと。そもそも、阪神JF組は、道中58秒台のペースを既に経験しているのだから。

参考になるのは、グランアレグリアが勝った桜花賞。そもそも、桜花賞がBコース2週目に開催されるのは2020年以来。但し、2020年は重馬場だったので一先ず度外視すると、一番参考にできそうなのは2019年の桜花賞となる。
このときのレースラップが5F59.4、グランアレグリアの上がり3Fが33.3。決着時計が1.32.7。チェルヴィニアのアルテミスSの時計からすると、上積みがあれば絶対無理だという時計ではないと思うのは、僕だけだろうか。
勿論、グランアレグリア並のことができる、というのは桜花賞の後も5つもG1を取った馬並のことができる、というのだから大分贅沢な話だ。

とはいえ。
阪神JFにおけるアスコリピチェーノとステレンボッシュの決着時計は1.32.6。コラソンビートでも1.32.8。馬場状態が違うので、時計を単純に比較しても意味はないということを承知でいえば、桜花賞当時のグランアレグリアの時計をもってしても、阪神JFのアスコリピチェーノ、ステレンボッシュよりは0.1秒遅いわけで。
さらに、これらの馬にも上積みがあるとすれば……まあ、チェルヴィニアにとってはなかなか茨の道であることが分かるかと思う。

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