第2話 いろいろな「コミュニティ」

僕が「コミュニティ」と出会ってから、15年程経ちました。

そして、最近、耳にする「コミュニティ」という言葉が、僕が思っているコミュニティと、どうも違う意味合い、文脈のものとして使われているケースが増えてきているような気がします。

また、僕が「コミュニティ」といっていたものも、少しずつ、変化してきているように思います。

ここでは、そういった、僕が考える「コミュニティ」とは異なる意味合いで「コミュニティ」という言葉が使用されているケースの例をいくつかピックアップして眺めつつ、それらとの相違点から、改めて僕が考える「コミュニティ」とは何か、ということについて書いてみたいと思います。

パターン1:(非IT、ネット時代からの)地域コミュニティ

IT系ではない世界では、一般的には、ネットを使わなくても成立する距離、範囲の中でのコミュニティ、という意味合いでコミュニティという言葉が使われているようです。昔からある「コミュニティセンター(略称コミセン)」といった言い方も、こういったいみあいでのコミュニティを意味しているようです。人口が都市に集中する傾向が始まって以来
この地域コミュニティの崩壊が、長年社会問題となっているようです。個人的には、ネットの力をうまく活用することによって、この都市への人口の集中化が緩和され、住む場所の自由、選択肢が増えた新たな時代の中で、新たな、より選択の自由がある形での閉鎖的ではない形での、地域コミュニティが盛り上がる時代になっていくと良いなー、と考えています。
また、場合によっては、旧来型の地域コミュニティもっていた閉鎖的な側面から、ネガティブな意味でこの「コミュニティ」という言葉が使われることもあるようです。

パターン2:ネット時代のコミュニティ

パターン2ー1:よりニッチに、より尖ったコミュニティ
インターネット(その前のパソコン通信含め)の時代になり、これまでの人類が経験したことがないような形での、コミュニティが生まれました。このコミュニティは、まず、ニッチな、もしくは濃い趣味を持つ人同士の間で盛り上がりました。普段身の回りの人と話しても、あまり盛り上がらないようなニッチな、でも尖ったテーマについて、ネット上には、同じ趣味、興味を持つ人が集まっている場所があり、365日24時間いつでもコミュニケーションできる、という世界は、非常に刺激的なものでした。
パターン2ー2:より一般になったネット上のコミュニティ
パソコン通信、メーリングリストといった場所のコミュニティは、まだまだごく一部の人が参加する場所でした。その後、1995年ごろの、一般へのインターネットの普及につづく、SNSブーム、さらにはスマートフォンの普及に伴う全人口がネットと常時接続しているような状況になってくるなかで、これまでのニッチな、もしくは尖った指向とは異なる価値観による、いわばネット内での地域コミュニティのようなコミュニティが生まれてきました。
パターン2ー3:ネット上と地域がクロスするようなコミュニティ
その後、ネットがもつ良い点と、リアルのもつメリットを両方兼ね備えたコミュニティの形が生まれてきました。
パターン2ー4:ネットが当たり前になった時代の、より発展して多様になっていくコミュニティ、パターン1も、パターン5も、その一形態、といえるかも知れません。とはいえ、様々な人が関わるようになってきたことで、本来のパターン2のコミュニティが持っていた良いところ、また、パターン2のコミュニティが備えるべき条件を失ったものを「コミュニティ」と呼んでいるのでは?と感じるようなケースも増えてきているような気がしており、少し懸念しているところもあります。

パターン3:人の集まりであって、「国」「学校」「会社」など既存の名前があてはまらないもの

これは、特に「コミュニティ」というものに思い入れはなくて、たんに「人の集まり」を横文字で表す、というようなケースで使われているように思います。

パターン4:人の集まり。「国」「学校」「会社」などを包括的に含む

これも、単に「人の集まり」を表すもの、という意味ではパターン3に近いと言えると思います。

パターン5:ビジネスとしてのコミュニティ

ネットが普及し、パターン2のようないろいろなパターンのコミュニティが生まれてくる中で、このようなコミュニティの持つ特性をビジネスに活かそう、という考え方が生まれてきました。営業活動からマーケティング、そしてコミュニティマーケティングへ、「ユーザー会」とよばれていたものから、「ユーザーグループ」と呼ばれるものへと、アプローチが変わってきています。

このマガジンがテーマとするコミュニティは、パターン2

というわけで、「コミュニティ」と一口に言っても、それが意味することは、非常に幅が広く、一概に「コミュニティとは」という風には語れなくなってきていると感じています。

とりあえず、僕が「コミュニティ」という時は、基本的にはパターン2のことを意味しています。シチュエーションによっては、パターン4の意味でも使ったりしますが、前後の文脈から、だいたい明確となっているかと思います。

とにかく、僕が、このマガジンで取り扱う「コミュニティ」とは、パターン2の文脈でのコミュニティであり、そのコミュニティの可能性を探る、ということがメインの話題となる予定です。


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