見出し画像

【フローラS(G2)回顧~その先へ】血統篇

【フローラSの結果】
レースは、先手をゴールデンハインド(7人気)が、そのまま逃げ切り、好位を追走したソーダズリング(1人気舎)に1.1/4馬身差をつけ優勝。さらに1.1/4馬身差の3着にブライトジュエリー(4人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、「荒れるオークストライアル」は1番人気馬が6連敗と更新。「前走1勝クラス1着馬」の該当馬(君子蘭賞を勝ったキミノナハマリア)は、11着惨敗。「開幕週のため内枠有利」は過去10年で「1~3枠」が7勝をマーク。距離ロスなく立ち回れる馬が狙い目のなか、今年は2・3着馬が1~2枠(馬番1・2番)だった。

血統面からみると、「欧州指向の血統が有効」のなか、1着・2着馬(ゴールデンハインド、ソーダズリング)の母父が共に欧州型、3着馬(ブライトジュエリー)父欧州型。さらに、「ロベルト系の血を持つ馬」に注目すると、4ラインに絞り込むと出走馬15頭中2頭が2・3着馬(ソーダズリング、ブライトジュエリー)入線。

【血 統 傾 向】
スピード負けしていたスタミナ血統が巻き返す!? 欧州指向の血統が有効。

父欧州型。そのなかでも、ハービンジャー産駒、ルーラーシップ産駒、エピファネイア産駒。
ロベルト系、サドラーズウェルズ系の血を持つ馬。

2023年
1着父ゴールドシップ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
3着父エピファネイア(ロベルト系/欧)×母父ミスプロ系/米

2022年 
1着父キングカメハメハ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
3着父キズナ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧

2021年
1着父スクリーンヒーロー(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
2着父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父サンデー系/日
3着父ゴールドシップ(サンデー系/日)×母父ヘイロー系/米

2020年
1着父スクリーンヒーロー(ロベルト系/欧)×母父ミスプロ系/米
2着父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
3着父ルーラーシップ(欧州ミスプロ)×母父サンデー系/日

2019年
1着父ヴィクトワールピサ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ダイワメジャー(サンデー系/日)×母父スターリング系/欧

【血 統 背 景】

ゴールデンハインド(牝3、美浦・武市康男)は、父ゴールドシップ×母オレゴンレディ(母父Shamardal)。マイネルアストリアの半妹にあたる血統で、父のゴールドシップはスタミナ豊富なステイゴールド系種牡馬。ユーバーレーベンやウインキートス、ウインマイティー、マカオンドールなど産駒もステイヤー寄りに。母はアメリカのG3を優勝した実績馬オレゴンレディ。母系がストームキャット、ゴーンウエスト、シアトルスルーとスピード血統だからバランスは取れていて中距離向き。スピードとスタミナが上手く融合して一定のペースで走れるタイプだから前目で運べれば渋とく粘れる。

前走・フラワーCは、スタート後にハナを取る勢いだったが、内の馬に主張されて好位の外から。直線でもしぶとい粘りを見せて4着に健闘した。跳びが大きくてきれいな馬だけに、不良馬場には苦しんだ印象。この中間はしっかりと攻められつつ、馬体重が増加。休み明け3戦目でさらに気配は上向いている。芝2000㍍では、牡馬相手のオープン特別・芙蓉S(中山)で0秒1差の2着に好走しており、距離延長への不安もない。

絶好のスタートを決めた同馬は迷わずハナへ。マイペースを貫き、前半5F60秒8と絶妙なラップを刻んだ。直線を迎えても余力は十分。菅原明騎手の右ムチを合図にスパートをかけると、後続の追い上げを許さず、重賞初制覇を飾った。

ソーダズリング(牝3、栗東・音無秀孝)は、父ハーツクライ×母ソーマジック(母父シンボリクリスエス)。マジックキャッスル、ソーヴァリアント、ソーグリッタリングの3/4妹で、母ソーマジックはアネモネSに勝ち桜花賞3着。母母スーアは伊1000ギニー(伊G2・芝1600m)勝ち。ハーツクライ×シンボリクリスエスはベルラップやカフジプリンスと同じ。兄姉たちとの比較ではマジックキャッスルに近いタイプに見えるが、父がハーツクライで更に重厚感はある。脚捌きはわりとロベルト的で機動力も兼備。弱点の少ない中距離馬。

前走の未勝利は抜群のダッシュでハナに立つ勢いだったが、鞍上の武豊騎手は少し下げて好位の外をキープ。絶好の手応えで直線を向き、満を持して追い出すと、メンバー中最速タイの上がり3ハロン34秒1(推定)をマークして2着馬を2馬身1/2突き放した。その末脚は、2020年秋華賞2着、2021年愛知杯1着の半姉マジックキャッスル(父ディープインパクト)、2021年、2022年にチャレンジC連覇の半兄ソーヴァリアント(父オルフェーヴル)をほうふつさせる。きょうだいは2000㍍重賞での実績が十分なだけに、本馬も距離延長への不安は少ない。

同馬は、ただでさえ外差しが決まりにくい馬場でスローペースのなか内枠を活かした先行策が吉と出て2着。ソーマジック牝系は少し反応が悪かったり、体質が弱かったりと好循環に入りにくい面があるものの、同馬は3戦でオークスの切符を獲得。

ブライトジュエリー(牝3、栗東・橋口慎介)は、父エピファネイア×母エアパスカル(母父ウォーエンブレム)。母のエアパスカルはチューリップ賞勝ち馬。カルドブレッサの姪で、近親にはブラックタキシードのいる血統。父のエピファネイアは菊花賞とジャパンC勝ち馬で、エフフォーリアやデアリングタクトなどの父。

母父のウォーエンブレムは米国2冠馬でスピード志向の強い血統。母系の奥のストームキャットの影響もあって大箱も合う血統構成で、初出走の未勝利戦は中京2000㍍を道中内に潜り込んで直線外に持ち出す綺麗な競馬で突き抜けた。本馬は小柄な馬体ながら、切れ味は一級品。最後は物見をする幼さを見せながら、計時した上がり3ハロンタイムはメンバー中最速の34秒6(推定)。2番目に速い馬とは1秒4もの差があった。実戦を経たことで、この中間は状態面が良化。栗東CWコースでの1週前追い切りでは、楽な手応えで好時計をマークした。

過去10年のフローラSで1戦1勝馬の優勝はないが、インパクトの大きかった初戦から、さらに進化した走りを見せる可能性は十分。
キャリア1戦、さらには初めての関東輸送で3着に入った同馬はオークスの権利こそ獲れなかったが、条件戦から再出発になるが、今後注目したい1頭。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?