中村天風氏のこと(2015年5月19日採集)

うちの社長が結構アレな人で、割と僕は好き。

そんな社長が傾倒している人があり、なかなか面白い本を書くというので読んでみたら面白かったのでご紹介。
とっくに死んでしまった人で、中村天風氏というのですが、まあ、この人の来歴をwikiで調べたら面白いこと面白いこと。

http://ja.m.wikipedia.org/wiki/中村天風

思想本というか自己啓発本なのだけど、基本的に面白いのは作者の半生ですね。著作ではなく、述作なので、ほぼすべて口語。口語なれど古い時代の人らしく文語引用の入り混じる講談調の語り口。読み口としては、武芸の達人の無茶苦茶な回顧録に近いです。
理屈に関しても、まるっきり精神論かと思いきや、なかなか新しい 考え方とかあって興味深いです。

理屈の中でなるほどなあ、と思ったのは外部からの情報刺激についての考察。
かいつまんで言うと、肉体、精神の双方に栄養が必要であり、肉体の場合はマテリアルとしての食物を栄養とし、精神にとっては日々出くわす出来事などの感覚刺激が栄養となるということ。
ふむふむですよね。
面白いのは、食物であればそれが毒でないか、食べて体に悪くないか吟味して食べる(肉体に取り込む)のに、日々出くわす出来事の類は碌に吟味せず、良いこと嫌なこと問わずに起きたことを丸ごと吸収する(心の糧にする)のが善のように言われているのは変だ、という理屈。

これは、まあ実に小気味の良い理屈であります。
それでどうすべきかといえば、単に嫌なことは忘れっちまえ、という至極もっともな結論になるのですが、この理屈で考えている人を見たことがありません。
読み物としても割と面白いので、機会があったらぜひ、と言いたいところだけど多分この本市場に流通してない。残念。

備忘的に追記。

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