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ワーケーションについて思うこと。

 こんにちは。段々と書く頻度が下がっていてモチベーションも下がってきました。数日前ですが、ワーケーションがどうとかいう話題が盛り上がって、今はもうだいぶ収束してしまいましたが、これについては結構思うことがあるのでちょっと書いてみます。

個人的にはワーケーション、良いと思う

 ワーケーションとは今や説明不要かと思いますが「ワーク」+「バケーション」の造語で2000年代にアメリカで生まれたそうな。生い立ちの話は今回どうでもよく、観光地やなんかで遊び半分仕事半分ってことでしょう。
 個人的にはめっちゃワーケーションしたい、というのが希望です。というか実は今年の春、スキーシーズンが終わったら、東北あたりへ行って、被災地の復興の様子を見つつ、もし需要があればボランティアなどしつつ、ゲストハウスやなんかで仕事をする、1週間ぐらい滞在する、なんていう希望を持っていました。去年の冬前頃、漠然とそんなことを計画していて、妻には行っても良いかお伺いを立ててたんです。結果的にはコロナ禍でまあ無理だとなって実行できていませんが。
 そんなことを考えたのは実験的な意味もあって、私は労働者のようで労働者ではない、事業主のドラ息子なので少しは自由がききます。オフィスワーカーといえば毎朝みんなだいたい同じ時間に通勤して、毎晩みんな同じ時間に退社するみたいな世の中の「当たり前」がもう少し自由にならないかなとずっと思ってて、じゃあ俺が自分で実験するか!みたいなことを考えていたわけです。業務用のPCを昨年デスクトップからモバイルに変えたのもそういう目的もありました。まあやってないんですけど。
 もちろん自分で実験して「楽しかったぜうぇーい」で終わりでは面白くもなんともないので、現実的に可能であるということならば従業員にも同様の働き方を検討してもらうということを考えていました。あ、従業員といってもパートさんが1人、社労士さんが1人と俺以外に誰がワーケーションするんだよ、みたいな事務所ではありますが。もちろん完全にやめたつもりはなく、なんとなくタイミングを逃したので次回の計画を今は考えられずにいるのですが必ず実験します。

日本でワーケーションは普及するのか

 これが一番の問題なんですけど、少なくとも今回の政府の推進によって普及することはないでしょう。理由は日本の賃金制度が「時間」をベースに成り立っているからです。そしてこれが変わるとは考えられない。言い方は極端ですが日本の労働者は皆時給制です。長時間働くほどたくさん給与を貰えるようにできています。そして時間数は現に監視できなければ正確には把握できません。年功序列的賃金で、毎年上昇幅の大小はありつつも固定給が下がることのない賃金制度、業務量も明確でなく、全力で時間内に終わらせるより少し力を抜いて残業するほうがたくさん給与をもらえるとしたら、長時間働いたほうが有利です。使用者としては業務の繁閑を労働者の労働時間の長短で調整できるので、一度雇用すると解雇が極めて困難な日本の労働法規のもとでは多少割増になる賃金を払いさえすれば新しく人を雇うリスクを負わずにすみます。忙しい、だから長時間働いてくれや、で済ませられてしまうわけです。労働者は暇なときでも多少は残業代がもらえる代わりに、忙しいときには長時間だろうが多少の無理させてもいいよね、という制度だと私は思っています。そして実はこの制度、労使ともにそれで良いと思っている人が結構多いのではないかとも思っています。
 ですがワーケーションを実現するには、この制度はまったく向いていません。使用者としては実際に労務に従事している時間を把握しなくてはならないにも関わらず、観光地などの遠隔地である以上労働者の報告を信じることでしか時間を把握できません。これはテレワークでも同じですね。労働者としては観光地で過ごしているにも関わらず、自分のタイムスケジュールをチマチマ記録してここが働いた時間です、ここは休んだ時間ですと報告しなくてはならないとしたら、プライベートまで侵害されているようでなんか憂鬱になりますね。労使双方に利益がありません。
 ワーケーションを行うとしたらおそらくその目的は「自由」のはずです。こなすべき仕事さえこなしていれば、時間の使い方は自由になる、最低限の拘束で、働きたいときに働き、遊びたいときに遊ぶ。このような時間の使い方ができなければそもそもワーケーションなんてメリットないよね、というのが私の感想です。

それでも俺はワーケーションがしたい!のなら

 あくまで業種として可能であるという前提にはなるのですが、思いつく方法としては以下のような感じです。
 第一は私のように「私が実験台になるのだ!」と会社を言いくるめる(私はまだ言い出してさえいない)ことです。ただし、実験がうまくいかなければ初回で終わってしまう可能性が十分にあります。また、実験台になるからにはワーケーションを取り入れる制度作りなどに貢献しなくてはなりません。旅先で遊びつつ仕事して帰ってきて、「楽しかったぜうぇーい」で終わらせることはできないのです。続きがあって、後続の人たちのために力を尽くさなくてはなりません。それが苦痛な人には向いてないでしょう。逆にそういった制度作りに携わりたい!ワーケーションを我が社で普及させたい!という人はチャレンジしてみるといいかも知れません。
 次に、既にワーケーションが可能な会社に入社することです。私の身の回りには聞いたことがありませんが、そういった制度のある会社に入社することができれば、ワーケーションすることができるでしょう。
 もう一つはフリーランスですかね。ちょっと労働者のワーケーションとは意味は違いますが、ワーケーションが可能な業種であれば、現に実行している人は多いと思います。旅行先にもPCを持っていって場合によっては滞在先で業務をこなし、またはリモート会議に参加する。実は私もスキー行くときにPC持っていくことはあります。給与支払日は待ってくれませんからね。給与支払日に追われてスキーの滞在先で仕事をするのは「自由な働き方」とは言えないかも知れませんが…

まとめ

 以上まとめると、今回ワーケーションが普及することはないでしょう。ワーケーションを普及させるには労働法規の大幅な変更、労働者使用者の意識の大幅な変更等、一筋縄ではいかないような部分をどんどん変えないと無理でしょう。ですが、自分がワーケーションしたいだけなら自らチャレンジしてみれば道は開けるかも知れません。
 まあそもそも、ワーケーションしたい人ってどのぐらいいるのでしょう。めっちゃワーケーションしたいとか言ってる私は少数派なんでしょうかね。ちょっと気になるところではあります。

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