非当事者研究への脚注その7

 「当事者」と「政党」についていずれ書こうとは思っていましたが、世界で一番かもしれない身体障害の重い国会議員の誕生の可能性が出てきたので、早産しない程度のメモとして書いておきます。

 まず「当事者」が「非当事者」との区別で使われるとき、そこに含まれるのは“Represent”つまり代理の不可能性です。「当事者主権」でも「当事者研究」でも「自己決定」が重視され、「当事者」の代わりはいないことになります。
 この点で言えば、代議制民主主義の要とも言える「政党」の肝はやはり“Represent”つまり代表の機能であり、誰かの代表として代わりに意見を表明します。この点で「当事者」とは対極にあり、いわば水と油です。

 しかし「当事者」を「当事他者」との区別で考えるならば、「政党」と接続する視点を持ちうるだろうと思います。すなわち「当事者」には部分的でも協働する「当事他者」がおり、すでに「徒党」を組んでいます。さらに言えば、「当事者」も「党」も英訳では“Party”としてつながり、必ずしも水と油ではない関係の可能性も見えて来ます。

 現在の日本には、当事者ファーストを掲げた政党があり、後世も色物扱いされるのかもしれません。しかしここには直接的民主主義と間接的民主主義とのさらに間、つまり民主主義を活性化するために脱構築的に考えるヒントがあるような気がします。

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